「エネルギー白書2024」

 福島、脱炭素、安全保障、GX 取り巻く動向を踏まえ分析

 2023年度のエネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024)が2024年6月、閣議決定された。法律に基づき政府が国会に提出する文書。2004年から毎年作成し今回は21回目。
 例年3部構成でまとめられ、第1部はその年の動向を踏まえた分析、第2部はデータ集、第3部は施策集となっている。今回の第1部では、福島復興、カーボンニュートラル、エネルギーセキュリティ、GX(グリーントランスフォーメーション)に関するトピックを3つの章に分け取り上げた。
 福島復興の進捗に関する章では、原発事故の発生から13年が経過し今も課題が残る中で着実に進展している現状を報告。汚染水を浄化した処理水の海洋放出開始や広がる避難指示解除の状況などを記している。エネルギー安全保障に触れた章では、周辺情勢悪化などによる紅海やパナマ運河の大幅な通航量の減少、不透明な燃料価格の見通し、データセンター新増設などによる電力需要の増加といった不安定要素を挙げた。それらに対処するためには、徹底した省エネや自給できる非化石電源の推進で、エネルギー危機に強い需給構造へ転換する必要があると呼びかけている。
 GXや脱炭素に関する章では2023年7月に政府が策定した「GX推進戦略」を紹介し、二酸化炭素(CO2)を回収して地下に埋めるCCSや水素のエネルギー利用などについて、日本での官民の関連投資が実行のフェーズに入ったと伝えている。

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