食品ロス防止 トルヒーヨ原則採択 

APEC食料安全保障担当相会合

 日米中やロシアなど21カ国・地域が参加するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の第9回食料安全保障担当相会合が2024年8月、ペルーのトルヒーヨで開催され、農林水産省がその結果概要を公表した。会合では食料安全保障の確保などに関する閣僚声明とともに、食品ロスの防止や削減のための「トルヒーヨ原則」を採択している。
 閣僚声明では、2023年に飢餓に直面した人が7億1300万〜7億5700万人(11人に1人に相当)になる可能性があると示す国連機関の報告に触れている。そのうえで、食料安全保障や栄養の改善のために、研究や技術革新を支援して農業生産性を向上させるとした。 
 また、関連分野の能力構築や教育の推進、気候変動対策や生物多様性保全に通じる農業・食料システムの改善、世界貿易機関(WTO)のルールに基づく公平な多国間貿易システムの実施に向けた取り組みの継続などもうたっている。 
 声明でも食品ロスの防止・削減は表明しているが、それに加えて、取り組みの指針と枠組みを示す7項目からなる「トルヒーヨ原則」も採択した。
 そこでは冒頭で、世界で生産される食料の3分の1に当たる13億トンが毎年廃棄され、一方で30億人以上が十分な量の食料を入手できていないという国連食糧農業機関(FAO)の推定を挙げ、食品ロス防止の重要性を提示。研究、イノベーション、デジタル化促進の必要性や、問題に対処するための制度の強化、官民協働での対策の実施といった原則を掲げた。会合には加盟国のうちブルネイとパプアニューギニアを除く19カ国・地域が参加した。次回は韓国が議長国を務める。

 

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