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「1.5℃目標」追求を決意

COP26 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議

 地球温暖化問題を話し合う国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が2021年10月から11月にかけて、イギリスのグラスゴーで開催された。交渉の難航で会期を1日延長しながらも、気温上昇を産業革命前から1.5℃以内に抑えるというパリ協定の努力目標を追求する決意を明記した「グラスゴー気候合意」が採択されるなど世界の取り組みは前進した。

 1.5℃目標は、現段階で国連に提出されている各国の自国が決定する貢献(※NDC)がすべてなされても達成は難しいとされる。そこでグラスゴー気候合意では、2022年末までに各国の2030年目標を見直すよう求めた。交渉の争点となっていた石炭火力発電については、排出削減対策が講じられていないものを段階的に低減する努力を加速する。非効率な化石燃料への補助金も廃止に向けていく。
 途上国支援では、先進国が2020年までに年間1000億ドル拠出するという目標が達成できていないことを確認。早期の実現を約束した。温暖化に適応するための資金も先進国全体で2025年までに2019年の水準から倍増させる。
 パリ協定で運用方法が決まっていなかった国際排出量取引についても合意が得られた。先進国が途上国に再生可能エネルギー(再エネ)や省エネ設備などを導入することで減らした排出量の一部を先進国分の削減量としてカウントする仕組み。先進国に移行する割合は途上国と個別に決め二重計上を防止する。以前の京都議定書当時の削減分は2013年以降の登録分のみ認める。これらの実施指針が固まったことでパリ協定ルールブックが完成した。
 各国が報告する温室効果ガス排出量とNDC達成に向けた取り組みの報告形式を全締約国共通の様式にすることも決まった。能力不足や事情により作成できない項目がある途上国には、支援の強化も進める。2031年以降のNDCで目標を何年先にするかの規定もされた。すべての国が2025年に2035年目標、2030年に2040年目標(以降5年ごとに同様)を決め報告することを奨励。そのほか適応の世界目標、災害対策などが議論されている。
 次回のCOP27は2022年11月にエジプトが主催する予定。


※NDC

 自国が決定する貢献(Nationally DeterminedContribution)。パリ協定のすべての締約国は温室効果ガスの排出削減目標を自ら決め5年ごとに更新しNDCとして国連に報告する義務がある。
 日本では2015年7月に2030年度の排出量を2013年度比で26%減にする目標を決定し報告した。その後2021年4月に同46%減を表明し、これを反映したNDCが同年10月に国連へ提出されている。

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