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対策強化で合意新基金創設も
COP27 国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議

 地球温暖化問題を話し合う国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)が2022年11月、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された。締約国に各種対策強化を求める合意文書が採択されたほかロス&ダメージ(ページ下部に用語解)の支援に向けた新たな基金の創設なども合意された。

 会議の主な成果をまとめた合意文書は「シャルム・エル・シェイク実施計画」。各分野における締約国の取り組み強化を求める内容で、前回のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」を踏襲しつつ追加対策などを盛り込んでいる。
 強化対象の主な分野は、温室効果ガス排出削減(緩和)、避けられない気候変動の影響への対応(適応)、適応しきれない悪影響への対応(ロス&ダメージ)、活動のための資金など。2023年末までにパリ協定の1.5℃目標が達成できるような各国削減目標の見直しや強化、排出削減対策をしていない石炭火力発電の段階的な削減、といった具体的なルールも示している。
 2030年までの排出削減活動などの緩和策を緊急に強化していくための「緩和作業計画」も採択された。ここでは2026年までを計画期間として毎年議題に取り上げ進捗を確認し、同年に期間延長を検討することや、最低年2回ワークショップを開催することなどが記されている。
 今回の会議で重要なテーマの1つとされ、途上国と先進国の意見の隔たりが深く交渉が難航していたロス&ダメージについては、新たな専用の基金を創設することで各国が合意した。気候変動の悪影響に対して特に脆弱な途上国に向けた資金面での措置となる。実際の運用を検討する委員会が設置され、今後詳細を決めていく。
 途上国への資金支援では、未達成の目標(先進国が約束している2020年までに毎年1000億ドルまで増加させる取り決め)に対し進捗報告書の作成が決まった。また前回COP26で合意した先進国全体での2025年までの適応資金倍増についても途上国の要請で報告書作成が決定した。
 次回COP28は、2023年11月末から12月にかけて、アラブ首長国連邦のドバイで開催される予定。


ロス&ダメージ
「損失と損害」と訳される。豪雨や熱波などの異常気象、砂漠化、海面上昇といった気候変動がもたらす深刻な悪影響のこと。適応策の限界を超え国土の喪失や干ばつで水や食料不足に陥るといった事態を指す。
途上国ほど被害を受けやすいことからこれに対する支援が求められていたが、温室効果ガス排出量の多い先進国は責任や補償につながるのを嫌いこれまで議論自体を避けてきた経緯がある。

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