• エコな営みいまむかし
  • 循環型社会を実現していた江戸時代。江戸庶民のエコな暮らしをのぞきながら現代社会と比較します。

江戸のお風呂に無駄はなし


前回は鍋釜などを修理して使う江戸のリペア事情を紹介した。今回は「風呂」について。ここでも江戸庶民は無駄のないエコな生活を営んでいた。

江 戸

 多くの日本人が好きな「風呂」。現代ではほとんどの家に風呂場があり、毎日のように好きな時間に自宅で入浴できる。
 しかし江戸の町の長屋をはじめとしたほとんどの家屋に風呂はなかった。資源は豊富ではなかったし、狭い土地に家屋が密集していたので火事を恐れたという事情もある。そこで人々は町人や武士といった身分に関係なく皆が「湯屋(ゆや)」と呼ばれる銭湯に足を運んだ。江戸は風が強く、砂ぼこりで体が汚れるため毎日、人によっては日に何度も通うほど湯屋は生活に欠かせないものだったという。最盛期は約600軒の湯屋が江戸の町に存在した。
 社会全体の資源消費量からすると、湯屋は相当なエコといえる。家ごとの入浴に比べ、水も燃料も大幅に節約できる。湯屋1軒当たりの1日の利用者は300人を超え、エネルギー利用は非常に効率的だ。
 燃料は薪のほかに取り壊した家屋の廃材や火事の燃え残りなどの再利用できない木材、市中に落ちているごみが利用されていた。また浴槽にも燃料節約の工夫が施されていた。現代の銭湯のように開放的な空間ではなく、3面を板に囲まれた小部屋のようになっていて、入口部分は「石榴口(ざくろぐち)」と呼ばれ、板が天井からシャッターのように下がったつくりになっていた。人々はそこを屈んでくぐり浴槽内に入る。これは湯を冷まさないための知恵だった。

令 和

 現代では水や燃料をさほど気にすることなく湯につかることができる。とはいえ家庭で消費されるエネルギーの3〜4割が給湯だという。石榴口をつくるまではいかなくても、体を洗う間は浴槽のふたを閉める、家族がいる場合は次に入る人との間隔を極力短くする、入浴後の湯を二次利用するなどで、水やエネルギーの節約は可能だ。資源を大切にする意識を江戸に学びながら、現代日本のエコな入浴文化が広がっていけばいいと思う。

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