
「循環経済」国家戦略に位置づけ
第5次循環型社会形成推進基本計画 閣議決定
政府は「循環経済を国家戦略に」を副題にした循環型社会形成推進基本計画を2024年8月、閣議決定した。 計画の策定は循環型社会形成推進基本法に定められており、2003年の第1次計画から数えて今回は第5次になる。計画では2030年度までの数値目標を複数分野で設定した。
計画では、大量生産・大量消費・大量廃棄という一方通行型の経済社会から、効率的に繰り返し資源を有効利用する循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が不可欠であるとして、それを国家戦略と位置づけた。
そのうえで、持続可能な社会づくり、資源循環、地域の循環システム構築、廃棄物管理、国際的な取り組みの5つに関連する項目を重点分野に設定した。それぞれに目指すべき将来像や国が実施する施策、進展度合いを測る指標と目標値などを示している。
循環型社会全体に関する10の指標も設定した。そのうち「資源生産性」は国内総生産(GDP)を天然資源等投入量で割ったもので、1トンの資源からどれだけの価値を生み出すかを示す。目標では2020年度に1トン当たり46万円だったものを2030年度に同60万円に増加させる。
同様に「1人当たりの天然資源消費量」は11.5トンを11トンに、投入される資源全体に占める循環利用量の割合「入口側の循環利用率」は16%から19%にするなどの目標値が掲げられている。
重点分野の1つである資源循環に関する項目では、家庭から廃棄される衣料の量を2030年度までに2020年度比で25%削減することや、航空運送事業者の使用燃料の10%を2030年時点にSAF(持続可能な航空燃料)へ置き換えることなども記している。
廃棄物管理の分野では都道府県および市町村のそれぞれで災害廃棄物処理計画策定率を2030年度に100%にするなどの目標も設定した。
それらを実現させるための国の取り組みには地域特性を生かした資源循環モデルの創出、廃棄物再資源化を促す機械化・AI導入の支援、資源循環ネットワーク拠点づくり、東南アジア諸国連合(ASEAN)からの電子スクラップを国内で再資源化する体制の構築などが提示されている。

環境を読み解くことば 「循環型社会形成推進基本法」 廃棄物の発生を抑え資源の循環利用などを進めることで天然資源の消費が抑制される循環型社会をつくるための基本原則を定めた法律。2000年に成立、公布された。 この法律では政策を総合的・計画的に推進するため、政府に対し「循環型社会形成推進基本計画」の策定を求めている。環境大臣が中央環境審議会の意見をもとに案を作成し閣議決定する。計画は5年ごとに見直す。 |

電気に関する総合サービスを提供する日本テクノの広報室です。エコな情報発信中。