温暖化対策 目標達成前倒し業種多数

経産省・環境省業界団体らの実行計画を評価・検証
 経済産業省と環境省は2020年4月、所管する44業種が策定している低炭素社会実行計画について評価・検証を実施し、取りまとめた結果を発表した。取り組みの進捗状況などを各業種の2018年度実績比で確認の結果、全体の7割に当たる31業種がすでに2020年の目標に到達し、4割超の18業種は2030年目標の水準も上回っていた。計画の確実な進展が明らかになった。

 低炭素社会実行計画は日本の産業界による二酸化炭素(CO2)排出削減を目的にした自主的な取り組み。日本経済団体連合会(経団連)と115の業界団体が策定している。各業界団体は「2020年・2030年目標」「他部門での削減貢献」「海外での削減貢献」「革新的技術の開発・導入」という4つの柱に沿って活動を進めている。
 国の地球温暖化対策計画でも、この自主的取り組みを産業界における対策の中心的役割と位置づけており、政府の審議会などで厳格な評価・検証を定期的に実施するよう求めている。それを踏まえ、経産省と環境省の合同会議で、所管する44業種の2019年度の取りまとめがなされた。対象は2018年度の実績。
 国内の企業活動での2020年削減目標は7割の業界が前倒しで達成していた。目標には至っていないがそれぞれ設定した基準年などと比べて減少しているのは9業種、増加しているのは2業種、データ未集計などが2業種だった。
 バリューチェーンを通じ他部門での排出削減に貢献する取り組みをリストアップしている業種は41(うち明確な数値などで示せるよう定量的な記載がある業種は28)、グローバル展開を通じ海外での削減貢献で同様のリストアップを実施した業種は26(同15)、革新的技術の開発・導入では32(同10)業種だった。また、対象の44業種のうち、10業種が削減量の目標を上積みするなど見直しをしており、PDCAサイクルが確実に機能していることも確認された。
 経産省は、こうした低炭素社会実行計画などの自主的な取り組みが温暖化対策に寄与していることを国内外に情報発信していくのが重要だとしている。同省ではウェブサイトに関連ページを立ち上げたほか、低炭素社会実行計画の日本語・英語のパンフレットも作成している。

地球温暖化対策計画
 2016年5月に閣議決定した地球温暖化に関する総合計画。地球温暖化対策推進法に基づき政府が策定。温室効果ガス排出削減の目標や各主体が取り組むべき措置などを示す。
 2030年度に2013年度比で26%減を目指す中期目標や2050年までに80%削減する長期目標を掲げる。産業部門の取り組みでは、低炭素社会実行計画の着実な実施と評価・検証が必要だとしている。

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