水稲でコメの白濁 全国約5割に

農水省2023年地球温暖化影響調査レポート 

 都道府県の協力のもと農業生産現場における気候変動の影響などをまとめている農林水産省は2024年9月、2023年の「地球温暖化影響調査レポート」を公表した。水稲や果樹などの農産物で品質の低下が見られた。 
 影響が大きかったのは水稲で、出穂期以降の高温によってコメが白濁する白未熟粒が全国で5割程度発生したと見られる。粒の充実不足も1割程度あった。 
 それらの発生に対処する適応策では、水管理の徹底、適期移植・収穫の実施、高温耐性品種の導入などが行われた。耐性品種の作付け面積は全国で約18万ヘクタール。全体に占める割合は前年比1.9ポイント増の14.7%だった。 
 リンゴやブドウでは全国で2〜3割程度の着色の不良や遅延が発生した。温州ミカンにも3割程度の日焼け果が見られた。これらには別品種導入や遮光資材の活用など適応策が取られている。
 トマトは収穫期の高温で着花・着果不良、イチゴは花芽分化の遅れが、それぞれ4割程度発生した。畜産では乳用牛の乳量・乳成分の低下などが1割程度あった。 
 レポートの公表は農水省の気候変動適応計画に基づくもの。農水省では、示された影響や適応策を参考に各都道府県で今後も取り組みが進められるよう期待している。 

 

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