「鉄の商社」が環境のためにできること #47/株式会社 カノークス
愛知県名古屋市に本社を置く株式会社カノークスは日本の製造業を支える鉄鋼の専門商社。鉄鋼メーカーから直接仕入れることができる一次商社として卸事業を全国展開するほか加工や物流を担うグループ企業も擁している。グループ全体で環境負荷低減に向けた施策に取り組みサステナビリティ経営の強化を進めている最中だ。
中でも力を入れているのはカーボンニュートラルに向けた活動。2030年度までに二酸化炭素(CO2)排出量を2020年度比で50%削減するという野心的な目標を掲げている。
「オフィス部門でできることは限られますので、活動のメインは製造や輸送の分野です。かつては限られた拠点から加工済み鋼材をトラックでお客様先へ運んでいましたが、各地に加工・物流拠点を構えることで、現地まで原材料を海路で運べるようになり、陸上輸送の距離を減らしました。また積載率も向上させ輸送回数を低減。コストはもちろん排出削減につなげています」とSDGs推進担当の取締役執行役員の田中之行さんは話す。そのほか営業車のほとんどをハイブリッド車に切り替え一部EV車も導入。フォークリフトも電動にするなどさまざまな取り組みを進めている。
もう1つ、鉄の商社ならではの活動が「グリーン鋼材」の販売強化だ。同社が取り扱う鋼材の多くは生産過程で多量のCO2を排出する「高炉」で生産される。その代わりに従来からある電気による「電炉」で製鉄する電炉材の販売、近年各鉄鋼メーカーが注力するマスバランス方式の適用、低CO2鋼材であるグリーン鋼材の販売でCO2排出量の削減に取り組んでいる。しかし現状、グリーン鋼材の普及率はまだ低い。
「価値ある製品を世に広めるのは商社の使命です。グリーン鋼材の取り扱いはまだ少量ですがお客様の環境意識が高まっているのは事実。価格は従来の鋼材より高いのですが付加価値をきちんと説明し販売拡大につなげたい」と田中さんは意気込む。
これらに加え電力供給は日本テクノのCO2フリーメニューをグループ全社で採用。2024年度の排出削減率は2020年度比で47%になった。2030年度の目標達成も間近だ。
そして同社の環境分野の活動を語るとき、欠かせないのが地域貢献である。特に積極的に進めているのは本社所在地の名古屋市内を流れる堀川での活動。そこには創業当時の感謝の思いが引き継がれている。
開業は明治時代、場所は堀川沿い。重量ある商材を効率的に運ぶため運河沿いに拠点を構えた。事業は古くから堀川に支えられてきたのだ。

堀川では環境美化・保全を行う「堀川1000人調査隊」に賛同し、水質調査をほぼ毎日実施している。ボランティア活動として河川の清掃活動にも参加する。
「それらはSDGs推進チームのメンバーを中心に、主に本社勤務の社員が有志で参加しています。推進チームはグループ全社を含め、さまざまな部署からの兼務で成り立っています。任期は1〜2年。メンバーに入れ替わりがあることで、SDGsの重要性や実作業の苦労がわかり、環境に対する意識は徐々に会社全体に浸透してきました」(田中さん)
直接的には事業に関わらないこれらの活動でも、相当の労力やコストはかかる。だが、その分企業価値は向上する。「取引したい相手」と思ってもらえることで顧客や株主とのつながりが強化され、また人材採用の面でもプラスに働く。今後も、サステナビリティ経営に力を注ぎ、グループ全体、ひいては業界全体の持続可能な成長を目指していく。

こぼれ話
グループで環境方針を策定し、SDGsに積極的に取り組む同社。商社として環境負荷低減のためにできることをつぶさに探し対策を打っていることがよくわかる取材でした。商社はメーカーと顧客をつなぐ存在。良い商品、社会のためになる商品の魅力や必要性をお客さまに訴え、広めていくことが使命なのだと田中さんは話してくださいました。またそういった商品をお客さまに受け入れていただくため、日頃からのお付き合いで信頼を獲得することも重要です。グリーン鋼材はまだまだ高価だそうですが、それでも納得して購入いただけるよう、「鉄の商社」としての企業努力を欠かさない姿勢に感銘を受けました。
























































