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愚者が訊く

厳しさありユーモアありの賢者の語り

テレビドラマ『北の国から』などの脚本家として知られる倉本聰さんは、主宰する「NPO法人 富良野自然塾」で環境教育の活動を行っている。その副塾長の林原博光さんを共同質問者として、各界の識者へインタビューした対談集。
本書で賢者と呼ぶ対談相手は、ジャーナリストの池上彰さん、海洋学者の大島慶一郎さんら7人。「人間とはどういう生き物か、地球とはどういう星か、その関係はどうあるべきか」(281ページ)という根源的な問いかけに平易な言葉で答えていく。難解と思われがちな内容がすんなり頭に入るのは、自らを愚者と呼び、わからないことはわからないと、はっきり聞く態度を通した2人の質問者によるところが大きい。
賢者の語りは、人間を取り巻く厳しい課題も伝えるが、そればかりではない。思わず感心する雑学知識やユーモラスなエピソードなどが随所にあり読者を飽きさせない。例えば氷の厚さは北極では平均2〜3㍍なのに南極は3000㍍ほどある、ストローを束ねて強く握るとすべて六角形に揃う、チンパンジーでも駆け落ちする……。自分を愚者だと考えながら内容を素直に受け止めたい本だ。

双葉社 1,000円+税
倉本聰/林原博光 著
倉本聰:1935年、東京都出身。作家・脚本家・劇作家・演出家。2006年より「NPO法人富良野自然塾」を主宰。
林原博光:1943年、鳥取県出身。「NPO法人富良野自然塾」の副塾長。

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