• 環境政策最前線
  • 再生可能エネルギーの活用や供給システムなど、環境政策を早稲田大学の横山隆一名誉教授が解説します。

2050年カーボンニュートラルの実現に向けた地域脱炭素の取り組み

 2050年カーボンニュートラルを目指す政府は2021年4月、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減し、それを50%にまで届かせる挑戦を続けると表明した。
 目標達成のためには地域が主役となりその魅力と質を向上させ、地方創生に資する地域脱炭素の実現が不可欠だ。そこで2030年までの取り組みや施策の工程と具体策を示す「地域脱炭素ロードマップ」が2021年6月、国・地方脱炭素実現会議で策定された。
 地方自治体や地元企業・金融機関が中心となり、環境省を軸に国も積極的に支援しながら、2025年度までに少なくとも100ヵ所の「脱炭素先行地域」で地域特性などに応じた先行的な取り組み実施の道筋をつける。2030年度までに実行し、農山漁村、離島、都市部の街区など多様な場所で地域課題を同時解決し、暮らしの質の向上を実現しながら脱炭素を達成していく。現在、対象地域の公募が実施されており2023年4月までの3回の募集で32道府県83市町村の62提案が選定された。
 この取り組みは脱炭素以外にも経済循環や防災減災などさまざまな恩恵を地域にもたらすと考えられる。地域資源を生かす再生可能エネルギー(再エネ)など分散型エネルギーの導入は非常時の電源確保など災害に強い地域づくりにつながる。その自立分散型の地域づくりは、大都市圏から地方への移住を促し一極集中の緩和につながる。森林や里地里山を手入れしつつ木材や自然資源(バイオマス)として活用することは、豊かで美しい自然を守り、共生する人間らしいライフスタイルの再構築になる。
 第1回募集時に脱炭素先行地域に選定された横浜市と一般社団法人横浜みなとみらい21の共同提案は「公民連携で挑戦する大都市脱炭素化モデル」の構築を目指す。エリア内施設の屋上やエリア外公共施設の未利用スペースに設置した太陽光発電設備での再エネ電力供給による脱炭素化、省エネや地域一体となったエネルギーマネジメントによる電力需給調整力の創出、日本最大規模の地域冷暖房における排出削減などが計画されている。
 脱炭素先行地域の選定要件の中には、2030年度までに家庭などの民生部門で電力消費に伴う二酸化炭素(CO2)排出を実質ゼロにすることがうたわれている。各地域が特性に応じてこの目標を実現できるか見守りたい。

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