• エコな営みいまむかし
  • 循環型社会を実現していた江戸時代。江戸庶民のエコな暮らしをのぞきながら現代社会と比較します。

江戸の蚊、煙でいぶし遠ざける


 夏のこの時季、今も昔も気になるのが蚊。現代の蚊取り線香の原料になる除虫菊が日本に渡ってきたのは明治期というが江戸の人々はどうしていたのだろう。

江戸 

 花火大会、夏祭り、蛍狩りとイベントが目白押しの江戸の夏。だが蚊の存在がせっかくの楽しみを邪魔する。浅草辺りは特に数が多かったという記述もある。
 この時代の主な虫よけは「蚊遣かやり」と呼ばれる方法だった。木の枝、枯葉、わら、おがくずなどの木くずをいぶし、煙で虫を追い払うやり方。その煙は蚊取り線香のような殺虫効果はないため、あくまで寄せつけないための手段だ。草木を燃やすため発生する煙はすごかったようだ。
 火鉢や七輪に、不要になった木くずや枯葉を入れて燃やした。火事にならないようそれを玄関や軒先に置き、主に蚊が屋内に入るのを防ぐために使っていた。屋内では火の粉が舞い上がらないように火もらい(種火を入れておくドーム状の道具)を代わりに使用していたが、その後、火もらいを横倒しにしたような形の容器に変化し、現在でも夏の風物詩となっている豚型の入れ物になった。
 身近にいる犬や猫ではなく豚を模した形になった理由は諸説あるが、1つには火もらいを横倒しにした形状が豚に似ていたからだといわれている。ちなみに蚊取り線香を入れる豚型の入れ物を「蚊遣り豚」と呼ぶのは、この江戸時代からの蚊遣りの風習の名残だ。

現代

 現代では殺虫効果のある蚊取り線香をはじめ、虫よけスプレーなど多くの製品が開発され、江戸時代よりも蚊に悩まされることは少ないだろう。
 ただ、蚊の活動が活発になる気温は25〜30℃。年々猛暑日を観測することの多くなった最近の気象状況では、いわゆる真夏のシーズンよりも初夏や秋口に蚊が活発化する傾向にあるという。すると活発になる期間も長くなる。
 蚊は刺されて不快になるだけでなく複数の伝染病も媒介する。もうもうとした煙を使わずに済む対処法がある今、適切に使って夏を楽しみたい。



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