• エコな営みいまむかし
  • 循環型社会を実現していた江戸時代。江戸庶民のエコな暮らしをのぞきながら現代社会と比較します。

江戸時代のリサイクルショップ


 クリスマスや年末年始のギフトシーズンが終わるこの時期、贈られたものが家の中にたくさんあり、扱いに困っている人もいるだろう。江戸時代にも贈答文化はあった。献上品が山積みされるような高い身分の人はどうしていたのだろう。

江戸 

 日本のお歳暮という風習は神仏や先祖への供え物が起源だといわれている。それが江戸時代には、日頃世話になっている人に贈り物をする習慣として、武家、商人、裕福な町人たちの間で一般的に行われるようになっていた。特に武家社会では目上の者に献上品を贈っていたため、年末は位の高い武士のもとに大量の贈答品が寄せられる。
 贈られる品は塩鮭、干し鮑、昆布など保存性の高い塩蔵品や乾物が中心。そして、山積みされるほどのそれら贈答品を受け入れていたのが「献残屋けんざんや」だ。献残屋はそうした品を買い取ってくれる現代のリサイクルショップのような存在である。中は、お歳暮のシーズンになると献残屋から買われ、終わると売られて同じ店に戻ってくる商品もあったようだ。

現代

 現代ではどうか。お歳暮のほかにクリスマスや正月の集まりなどでギフトを用意する機会も増え、内容も食品のほか日用品、玩具、衣料品、ちょっとした家具など多岐にわたる。
 もらう量が多すぎて消費し切れなかったり、衣料品などが好みと合わなかったりした場合には、フリマアプリやリサイクルショップが利用される。
 それらの利用を、せっかく贈られたものだからとためらう人もいるが、使われずにしまい込まれるなら必要としている人のもとに渡るほうが、資源の有効利用になる。江戸時代でもそうしていたのだから。
 欧米ではプレゼントにレシートを入れる習慣がある。ギフトレシートといって、もらったプレゼントのサイズや好みが合わなかった場合は、その店に行って交換や返品ができる。日本でも大手通販サイトなどで対応していることがある。この気遣いのアイデアは、エコな営みが多数ある江戸にもなかったはずだ。



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