江戸の夏、涼に加えて温も利用
現代のようにエアコンや冷蔵庫のない江戸時代の夏。そこに暮らす庶民がどのようにして暑さを乗り切っていたのかのぞいてみる。
江 戸
江戸の人々は自然の風と水を上手く活用し暑さをしのいでいた。夏の強い日差しをすだれやよしずで遮り、打ち水をすることで涼しい風を吹き抜けさせた。特に水は、野菜やすいかを浮かべて冷やしたり、たらいに入れて子どもを行水させたりと、涼をとるのによく使われた。
歌舞伎では本ほん水みずといって舞台上で実際に雨を降らすなどの水を使用する演目があり、大勢の人でにぎわう芝居小屋の中で観客に涼しさを感じてもらうための演出の1つだった。
夏の風物詩として初夏の頃になると冷や水売りが街中に現れる。清水に砂糖と白玉を加えて提供され、少しでも冷たく感じるよう金属製の器が多く使われた。
だが、冷やすばかりでは
ない。温かい甘酒も庶民に親しまれた。甘酒は夏の季語になるほどこの時季の定番の飲み物だった。現代では冬のホットドリンクとして定着しているが、「飲む点滴」とも呼ばれる甘酒は栄養豊富で、暑さで弱った胃腸の回復や夏バテの防止に役立っていた。
令 和
近年では屋外のレジャー施設を中心にドライミストの設置が目立つ。打ち水のように気化熱を利用して気温や体感温度を下げる仕組みだ。窓辺にはグリーンカーテンを設置して直射日光を和らげ、空調効率を上げる工夫も見受けられる。水や日陰の活用は、江戸から形を変えて現代にも引き継がれているようだ。
一方、現代人の夏バテは必要以上に体を冷やしてしまうことが一因になっている。過度に冷房を効かせたり、アイスクリームなど冷たい物ばかり食べるといった行動はついしがちである。江戸のような自然からの涼だけに頼るのは難しいが食事の見直しや体を冷やし過ぎない工夫で夏バテを予防すれば暑い季節も少しは快適に過ごせるかもしれない。白湯や甘酒といった温かい飲み物で内臓を温めることは江戸庶民だけでなく現代人にも有効だろう。
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