Vol.4 海から考える人と地球の未来/アクアマリンふくしま
福島県いわき市にある「環境水族館アクアマリンふくしま」の基本理念は「海を通して〝人と地球の未来〞を考える」。県の生涯学習施設として、余暇のレクリエーションだけにとどまらない学びの場になっている。
屋外には水の循環に沿って「森」「里」「海」の3つのエリアが広がり、それぞれの生き物や自然と触れ合える。ガラス張りの館内では水槽や植物に太陽光が差し込む。館長の古川健さんは「太陽の光で水槽の中は昼は明るく、夜は暗い。福島県沖合の海や地元の昔ながらの自然を忠実に再現しています。来場者はこうした環境の中で五感を通してさまざまな体験をしていきます」と話す。

県内の学校を巡る出張水族館も
スタッフは館内での環境教育学習と併せ県内の学校などを訪問する。その1つが国内最大級の移動水族館・アクアラバン。トラックの荷台に設置した水槽にウニやヒトデ、ナマコ、カニなど海の生き物を乗せ片道3〜4時間ほどの会津や郡山、相馬などをはじめとする県内の学校を巡る。
カラフルな移動水族館が学校に到着し、荷台が大きく開くとそれだけで歓声や拍手が上がる。授業では、子どもたちに生き物の体のつくりや生態を紹介し実際に生き物に触れてもらう。スタッフの松崎浩二さんは「生き物が苦手で今まで触ったことがない子でも、友達と一緒だと〝自分も触ってみたい〞という気持ちが生まれ、触ることができます」と話す。生き物との触れ合いが、海や自然環境への興味のきっかけになる。
移動水族館以外にも年齢や学校の要望に合わせてさまざまなテーマの出張授業を行う。「海洋プラスチックゴミ」をテーマにした授業では、いわき市の海に流れ着いたプラスチックゴミを見せながら実際の出来事を伝えた。地元の漁港で首にプラスチック製のバンドが巻きついたキタオットセイが保護された。水族館近くの海で釣り上げた91匹の魚の中から96片のプラスチックゴミが出てきた。また、インドネシアで発見されたシーラカンスの腹の中からは菓子袋が出てきた、といった実例だ。
インターネットなどで多様な情報に触れる子どもたちも実際に自身の目で見ることで「遠い世界の出来事」は「身近な出来事」に変わる。これが基本理念である、海を通して考える「人と地球の未来」につながっていく。


古川さんは水族館の今後の展望として環境保全の新たなステップを示したいと話す。「これまでは昔ながらの自然を提示し、失われるものをどう取り戻すかという視点の展示でした。それも大事なのですがそれだけではもう間に合いません。最新鋭の技術などを活用した一歩進んだ環境保全のあり方を来場者の皆さんに伝えたい。人の力でどうやって自然を守っていくのか、明るい未来が想像できるような展示を考えていきたいですね」
こぼれ話
アクアマリンふくしまでは、イルカショーなど動物たちによるパフォーマンスは行っていません。紙面でも紹介させていただいたように、こちらの大きな特徴は自然環境を忠実に再現した展示がされているところ。できる限り、生き物たちの自然に近い姿を観察できるような工夫が各所に見られます。メイン展示となる「潮目の海」は、フィリピン海から大陸棚に沿って北上する黒潮と、日本列島に沿って南下する親潮が出あう福島県沖の海を表現したもの。隣り合う2つの水槽に外洋の魚と、地元の海の生き物たちが泳ぎ、その中央にある三角トンネルを歩くと、海のなかにいるような臨場感を味わうことができます。

また屋外にある「わくわく・はじまりの森」は、池や小川といった福島県内の水辺を再現したエリアで、カエルやドジョウなどの身近かな生き物が生息しています。広いエリア内には生き物を探すためのヒントが掲示されています。「せまい場所が好きなアカネズミ」や「湿地が好きなアカハライモリ」などのヒントを手掛かりに、岩穴をのぞき込んでアカハライモリを探したり、小川でメダカを観察したり…、自由に動き回ることができるのも魅力のひとつです。そのほかにも、丸一日楽しめるさまざまな展示や体験エリアが揃っています。
施設の入り口横には「環境水族館 アクアマリンふくしま」という大きな看板があります。豊かな自然環境や生き物たちに出会い、さまざまな学びの機会に触れることができる場所、まさに「環境水族館」という名前がぴったりの施設でした。
























































