サステナブルノート

省エネ、エコといった日常の暮らしに彩りを添える豆知識から、地球温暖化や環境問題まで、サステナブルな暮らしを送るのに役立つ広範囲な情報を紹介。また、随時特集と銘打ってその時期ホットな話題を深掘りします。

2026年 浮体式洋上風力発電が国内初の商用稼働――浮体式洋上風力とは。その概要と国内の促進状況を知る


2026年1月、長崎県五島市沖で、国内初となる浮体式洋上風力発電の商用稼働が開始されました。複数の電力会社や企業が参画する本事業では、五島市福江島の沖合約7kmの海域に8基の風車を浮かべ、ここで発電された総出力16,800kWの電力が五島市内に供給されています。

再生可能エネルギーの主力電源化が進むなか、さらなる活用が期待される浮体式洋上風力について、今回はその仕組みや、国内の促進状況などについて見ていきましょう。



洋上風力発電とは

洋上風力発電とは、海上に風車を設置し、その風車の回転する力を利用して発電機を回し発電する仕組みです。発電した電力は海底ケーブルを通って陸上に送られ、利用者に届けられます。発電時にCO2を排出せず自然の風の力を利用する風力発電は環境負荷の低い発電方法といえます。

日本ではこれまで風力発電といえば陸上風力発電が主流で、風の通り道となる沿岸部や山岳部に設置されてきました。しかし日本国内では風力発電に適した場所はすでに利用されており、好条件の土地はほとんど残っていません。そのため今後の発展を考えると、現在は陸上ではなく洋上での運用に力が注がれています。さらに洋上は陸上に比べ、地形の影響を受けにくく、より安定した風を受けることができ、風力発電の適地といえるのです。


              風力発電の仕組み

エコニュース 電気を学ぶ「風力発電」 より

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浮体式洋上風力発電と着床式洋上風力発電

四方を海に囲まれた日本は洋上風力発電に適した環境です。洋上風力発電は大きくわけて「浮体式洋上風力発電」と「着床式洋上風力発電」の2種類。この2つの大きな違いは、風車の基礎となる部分が海底に固定されているか、固定されず海上に浮いているかという点です。

日本では主に着床式洋上風力発電が進められてきましたが、着床式は海底に基礎を固定するため水深50メートルまでの浅い海域に限られていました。浮体式ではさらに深い海域にも設置が可能なため、これまで設置が難しかった海域での開発が進んでいるのです。

                     浮体式と着床式の図解

引用:NEDO 風力発電等技術研究開発

洋上風力発電の主なメリットとデメリット
メリット
・枯渇することのない再生可能エネルギー
・発電時にCO2を排出しない
・安定した風が吹くので発電効率がいい
・海上のため騒音問題を軽減できる
デメリット
・開発、設置コストが高い
・海の環境への影響が懸念される


日本の浮体式洋上風力発電の状況


現在、日本国内には再エネ海域利用法(正式名称:海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律)に基づいて、10ヵ所の海域が浮体式・着床式洋上風力発電の推進区域の指定を受け、政府の支援のもと開発が進められています。

促進区域とは、風況や気象条件・地盤などの自然条件が適当であること、漁業や海運業などの先行利用者との調整が取れていること、系統接続が確保できることなどの基準を満たした海域です。これに指定されると、洋上風力発電を行う事業者は最大30年間の占有許可が得られることになります。

また再エネ海域利用法では、促進区域の候補となる有望区域、準備区域も指定しており、現在その総数は27区域となっています。


              国内の洋上風力発電の促進区域・有望区域・準備区域

引用:経済産業省 再エネ海域利用法に基づく区域指定・事業者公募の流れ及び案件形成状況

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2050年カーボンニュートラルの実現に向けて


日本の温室効果ガス排出量全体のうち、85%強が発電などに利用するエネルギー起源のCO2排出量が占めています。2050年カーボンニュートラルの実現に向け、政府が掲げる2040年の電源構成における再エネ比率目標は4~5割程度。現在の再エネ比率は23.0%(2024年速報値)ですので、まだまだ大きな進展が必要な数字です。

風力発電についても現在の1.1%から2040年度に4~8%まで増加させる目標。浮体式洋上風力発電の促進が大きな成果へとつながっていきます。今後の進展に注目していきましょう。



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