2022年度温室効果ガス 過去最低を記録
実質排出量2013年比22.9%減
環境省は環境省は2024年4月、2022年度の二酸化炭素(CO2)をはじめとする日本の温室効果ガス排出量をまとめ公表した。排出量は、CO2換算(以下同)で11億3500万トン。そこから森林などへの対策で算定される吸収量5020万トンを差し引いた実質排出量(排出・吸収量)は10億8500万トンだった。基準にする2013年度排出量の14億700万トンと比べ22.9%の減少になり、過去最低を記録した。
日本は2050年に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを掲げており、その前段として2030年度に2013年度比46%減の目標を表明している。今回の発表で環境省は過去最低になった2022年度の値も含めこれまでの減少傾向をそのまま継続できれば8年後の目標や実質ゼロへの到達が可能なオントラックの状態にあるとした。
基準年からの減少要因は、省エネの進展、および再生可能エネルギーの拡大や原発の再稼働による電力の低炭素化など。コロナ禍からの回復でエネルギー消費量が増えた前年度からも2.3%(2510万トン)減っているが、それは全体的な消費量減少と産業・業務その他・家庭の各部門で節電や省エネ努力が奏功した結果と見られる。
温室効果ガス全体の約9割を占めるCO2排出量は10億3700万トン。その部門別内訳は、工場など「産業部門」が3億5200万トンで前年度比5.3%(1970万トン)減、自動車など「運輸部門」が1億9200万トンで同3.9%(720万トン)増、商業やオフィスなど「業務その他部門」が1億7900万トンで同4.2%(790万トン)減、「家庭部門」が1億5800万トンで同1.4%(220万トン)減だった。コロナ禍からの回復で輸送量が増加し運輸部門の排出が増えたが、そのほかの部門がそれを上回る減少量で補っている。
CO2以外の温室効果ガスでは、稲作など農業分野の排出が減ったメタンが前年度比1.7%減、燃料の燃焼や漏出が減った一酸化二窒素が同1.9%減だった。増加が続いていた代替フロン等は2009年度以降初めてマイナスに転じ同1.4%減。オゾン層保護法に基づく規制などが要因になっている。
森林などからの吸収量は前年度から6.4%減り5020万トン。人工林の高齢化による成長の鈍化が響いた。
吸収量 植林、農地管理、都市緑化などの活動によって温室効果ガスを削減・吸収した量。国が定めた地球温暖化対策計画などに基づいて計上する。 今年度から新たにブルーカーボン生態系の1つである海草藻場と海藻藻場の合計約35万㌧と、製造時にCO2を固定したりバイオ炭を使用するなどの環境配慮型コンクリート4種の合計約17㌧の吸収量も加えている。これらを算定するのは世界で初めてだという。 |
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