• 導入事例
  • 『SMARTMETER ERIA』や『SMART CLOCK』を活用し、省エネを実現した事例です。

SMART CLOCK & SMARTMETEA ERIA 導入事例(2021年夏号)

日本テクノでは定期的に「SMART CLOCK(スマートクロック)」「SMARTMETER ERIA(スマートメーターエリア、以下:ERIA)」の導入企業を広報担当者が訪問し、事例集を作成しています。
すでに数百もの事例が集まっており、現在も新たな「お客様の声」をリストに追加している最中です。同様に電力供給の提供を受けているお客様の活用法や保安管理サービスでの出来事なども随時収集し広く一般にも活用できる情報としてストックしています。環境市場新聞では、その中から4つの取り組みをピックアップして紹介していきます。なお記事は取材当時の内容です。


▼株式会社 トウペ 九州工場
▼株式会社 ニューコマンダーホテル
▼函館運送 株式会社
▼社会福祉法人 ユーアイ21 太陽の家 横濱羽沢

株式会社 トウペ 九州工場

市場連動市場連動型クロススイッチ導入

■導入効果:
▲35.8%(2020年6~12月の電力量料金を九州電力産業用電気Aプランと比較した場合)

変動する電気料金の事前確認で作業工程を調整

 塗料の製造販売を全国の拠点ネットワークで展開する株式会社トウペ(本社・大阪府堺市)。福岡県糟屋郡の九州工場では少量多品種の塗料を製造する。日本テクノの電力供給について工場長の吉田正さんは「市場価格と連動する料金プランの説明を受けたとき、九州地方は再生可能エネルギー(再エネ)由来の電力が市場に多く出回る時間帯があり、有効活用することで再エネの活用促進につながると聞きました。それもあってクロススイッチの導入を決めたんです」と話す。
 工場の塗料製造ラインは2つあり、1つは備蓄の利く商品を定常的に製造し、もう1つは前日および当日に注文を受け急ぎの製造をするラインだ。生産課長の木原哲朗さんは製造計画をもとに、工程の変動が可能か確認する。「突発的注文に対応するラインは動かせませんが、定常的なラインは比較的時間の調整が利きます。前日に卸電力市場の価格を確認し、時間帯を指定してなるべくその間につくるよう現場スタッフに指示をします。ただ最近はスタッフの理解も進み、前もって確認してくれるようになりました」。
 2020年夏から新しい塗料の製造設備を導入し、近くにスポットクーラーを設置した。その結果、夏場に電力ピークが上がり契約電力が前年比10%以上増加した。それでも電力量料金は以前のプランと比べ平均で約35%下がり40%以上低減した月もあった。再エネ出力が増す時間に積極的に電気を使い電気料金のコスト改善に結びつけられた。
 吉田さんは「毎月初めに以前の料金プランとどのくらい差が出たかデマンド閲覧サービスで確認するのが楽しみになっています。ただ、2021年1月の卸電力市場の価格高騰は予想できず、事前にクロススイッチしていませんでした。今回、市場は予想以上に変化するとわかったので、今後は積極的に固定単価へのクロススイッチを活用したいと思います」と語る。
(2021年3月取材)

工場長の吉田正さん(左)と生産課長の木原哲朗さん。

住所 ● 福岡県糟屋郡新宮町上府北4-1-30
TEL ● 092(962)2661
URL ● https://www.tohpe.co.jp/
創立 ● 1915年
事業内容 ● 塗料製造ほか

市場連動型クロススイッチとは

 日本テクノとの電力供給契約のうち、卸電力の取引市場価格に連動して電力量料金単価が決まるのが「市場連動型」メニュー。
これにプラスして電力量料金の上昇が予想される時期(盛夏・厳冬期など)に1カ月単位で固定単価型に変更(クロススイッチ)できるのが「市場連動型クロススイッチ」メニュー。固定単価は、地域の旧一般電気事業者の業務用料金が基準。利用には計量日前日の10日前に変更手続きが必要。

日本テクノ営業担当より

 再エネが市場に多く出回る時間に集中して電気を使うこと(デマンドレスポンス)が再エネ活用促進につながります。トウペ様はデマンドレスポンスの意味をよく理解し活用されています。今後も電力市場の動向に注目しながら、上手に電気を使っていただきたいですね。

株式会社 ニューコマンダーホテル

見える化コスト意識の浸透

■導入前後の比較:
契約電力 ▲21.6%(2019年→2020年)
使用電力量 ▲14.8%(2018年9月〜翌年8月→2019年9月〜翌年8月)

コロナ禍でも後手に回らず適切な電力対策

 ニューコマンダーホテル(大阪府寝屋川市)は露天風呂やサウナを完備したビジネスホテル。全スタッフが「ムダ・ムラ」をなくす契機にしたいと考え、電気の「見える化」を導入した。「導入後は営業担当の方にアドバイスをもらいながら使用傾向を探り、対策を練りました」(支配人の森本光彦さん)。
 検証の結果、電力ピークは夏場のチェックインからホールで宴席が始まるまでの時間に発生することがわかった。そこでスタッフは宿泊予定の部屋の空調をチェックイン前から稼働させ電力ピークの低減を図った。
 またSMART CLOCKが黄色を表示したときは、お客様の動きを見ながら客室以外のスペースの空調・照明を適宜調整するルールも決めた。さらに宿泊予定のない部屋は冷蔵庫の電源を切り、便座ウォーマーのオフを徹底。廊下も利用予定のないフロアは照明・空調を使わない。客室清掃時には空調をつけず、暑ければ窓を開けて作業を行う。こうした取り組みにより、利用客が順調に増える中でも、契約電力・使用電力量ともに改善が図れた。
 その後、新型コロナウイルス感染症の影響で一時宿泊客が前年比10%まで落ち込んでしまった。だが、2020年12月には同約60%と盛り返している。森本さんは「コロナ禍の前にシステムを導入できていたので、お客様が減ったときでも後手に回らず適切な電力対策が立てられました。お客様が少ないからといってすべての電気を止めることはできませんが、それでも経費の抑制効果はあります。〝見える化〞の浸透でスタッフのコスト意識が高まっているからです」と話す。
 今後を見据えて新たな事業の柱を育成しようと2020年8月には中食の販売・配達事業も始めた。コロナ禍が収まった後、一段成長したと感じられる、そんな組織を目指している。
(2020年12月取材)

支配人の森本光彦さん。

住所 ● 大阪府寝屋川市木田町17-4
TEL ● 072(823)7000
URL ● https://www.commander.co.jp/
設立 ● 1959年
事業内容 ● 宿泊業

日本テクノ営業担当より

 新型コロナウイルス感染症の影響で客数が減少している中、その状況に見合うよう使用電力量を減らしたいと考え、さまざまな取り組みを工夫されています。
 これからも当社のシステムを活用いただき、お客様と二人三脚で省エネを進めたいと考えています。

函館運送 株式会社

保安事例設備の適正な運用・管理で費用負担ゼロの保証が適用

夜間の停電も柔軟な復旧作業により翌日は支障なし

 2020年6月29日20時35分、北海道函館市の函館運送株式会社で管理部長の日下部貴久さんが帰宅する直前、停電が発生した。日下部さんは即座に日本テクノ監視センターに連絡。日本テクノ協力会・日電協(以下、協力会)の担当技術者・髙橋一由も、主装置ES SYSTEMからの停電通報などを受け、21時20分に現地に到着した。
 「万全な体制で荷物を送り届けるのが私たちの使命。食料品などを一時保管する冷蔵・冷凍品貯蔵庫も止まったので、なるべく扉を開閉しないよう現場に伝えました」と日下部さんは振り返る。
 髙橋はキュービクル内部を点検したが、特に異常は見られなかった。そこで、構内1号柱の高圧気中開閉器(PAS)とキュービクルをつなぐ高圧ケーブル(CVT)の絶縁を調べたところ、3のケーブルのうち1本に絶縁不良が見られた。「しかし、時間がたつと絶縁値が徐々に復活してきました。その日の天候は雨。恐らくピンホールのような穴に少量の雨水が入り、その後徐々に乾燥し絶縁が復活したと思われます。ただ、一度不具合の出たケーブルは同じ事故を起こす可能性があり、お客様に交換を依頼しました」(髙橋)。
 髙橋は、輸送品の品質に支障をきたさないうちに貯蔵庫を稼働したいとの同社の意向をくんで仮復旧の工事を提案。一刻でも早く作業にかかれるように、関係機関と協議を進めていった。
 「髙橋さんの機転で翌朝4時には仮復旧できました。その判断に感謝しています。後日ケーブルを敷設し直し、本復旧も済みました。電気設備は運営・管理が適正だったため、改修費用が全額保証されたのも本当に助かりましたね」(日下部さん)。
 今回は大きな損害もなく復旧したが、日下部さんは「もし何日も停電が続いていたら」との危惧も抱いた。今改めて電気の安全を考え直しているという。

管理部長の日下部貴久さん(右)と担当技術者の髙橋一由。

住所 ● 北海道函館市西桔梗町589-148
TEL ● 0138(49)6655
URL ● http://www.hakodateunsou.co.jp/
設立 ● 1949年
事業内容 ● 運送業

日本テクノ営業担当より

 協力会の髙橋さんの的確な判断により、早めに復旧が図れて一安心でした。日本テクノは適切に管理された高圧受変電施設で事故があった際に修理費用などの保証サービスを用意しています。こちらは適用に条件などがあるので、詳細は営業担当にお問い合わせください。

社会福祉法人 ユーアイ21 太陽の家 横濱羽沢

見える化確かな現場判断

■導入前後の比較:
契約電力 1.5%UP(2018年→2020年)
使用電力量 6.4%UP(2018年4月〜翌年3月→2019年4月〜翌年3月)

自主的行動は導入初年度の徹底した取り組みの賜物

 神奈川県横浜市にある太陽の家横濱羽沢は、2018年4月にオープンした特別養護老人ホーム。入居110床、ショートステイ10床、さらに企業主導型保育施設「太陽の家」を併設している。
 日本テクノの電気の「見える化」は、開所当時から活用し、施設長の中村豪さんが電力ピーク低減に取り組んできた。「最初はデマンドの目標設定値を125kWにしていました。しかし、7月に保育施設がオープンし、入居者も増えて施設の稼働率が上がってくると、各階のSMARTCLOCKと事務所のERIAモニターが頻繁に警報を出すようになり、その度にスタッフは切れる空調や照明はないか探し回っていました」。
 目標設定値を超えそうなタイミングを調べたところ、炊飯器の稼働に問題があった。昼食に向け、各ユニットでスイッチがほぼ同時に入れられていた。そこでユニットごとに炊飯時間をずらすルールを決めた。「ほかにも、共同生活スペースでくつろいでいる入居者さんの個室の空調や照明を消すなど、スタッフが細かく対応しています」。
 現在のデマンド目標設定値は131kW。この設定なら暑い日に1〜2回の警報が出る程度。現場の負担は抑えられる。「初年度にみっちり取り組んだお陰で全スタッフに省エネの対処法が身に付いています。細かく指示を出さなくても現場で判断して行動できるのがありがたい。空調は事務所で一括して細かな温度調整ができるのですが、現場での取り組みを重視して、どうしてものときの最終手段として使うようにしています」。
 今後の課題は春や秋に下げられる目標設定値の見極めだという。細かく数値を検証し無理のない範囲で省エネを一層進めていく。習得したノウハウは、神奈川県下に多数あるグループ施設へ水平展開したい考えだ。
(2020年12月取材)

一括管理できる空調の操作パネルを指し説明する施設長の中村豪さん。

住所 ● 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町2-1
TEL ● 045(442)4907
URL ● http://www.ui21.or.jp/
オープン ● 2018年
事業内容 ● 社会福祉業

日本テクノ営業担当より

 施設長をはじめスタッフの皆様が熱心に省エネに取り組んでくださり、頭の下がる思いです。ぜひその活動を継続していってグループ事業所の模範になってもらえたらうれしく思います。
 今後もご要望があればお力添えしますので、遠慮なく声を掛けてください。


SMART CLOCK、ERIAについては商品・サービス紹介サイトにて詳しくご紹介しています。
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導入事例については、導入事例サイトにてさらに詳しく紹介しています。
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