SMART CLOCK & SMARTMETEA ERIA 導入事例(2021年秋号)
「SMART CLOCK(スマートクロック)」「SMARTMETER ERIA(スマートメーターエリア、以下:ERIA)」の導入事例集から4つの取り組みをピックアップして紹介します(記事は取材当時の内容)。これらの活動は電気をつくる際に生じる二酸化炭素(CO2) の排出削減につながり、SDGs の目標達成にも貢献します。
株式会社 いなんせ典礼
直営式場の「いなんせ会館」
電気の見える化積極的データ活用
■導入前後の比較:
契約電力 ▲27.3%(2015年→2018年)
使用電力量 ▲14.8%(2014年11月~翌年10月→2017年11月~翌年10月)
デマンド閲覧サービスの情報をもとに空調を電気とガスの併用へ
沖縄県浦添市でセレモニーホールの直営など葬祭事業を営む株式会社いなんせ典礼。副社長の前浜政典さんは、日本テクノのサービス導入について「電気の使い方を徹底的に見直し、デマンド値をコントロールしたかったから」と話す。過去に他社のデマンドコントローラーを採用したが、警報の鳴るタイミングが遅く、対応が間に合わないことが何度かあった。「そこでSMART CLOCKによる使用状況の〝見える化〞で早めに対策しようと考えました」。
施設の利用者に不便を感じさせず、いかにデマンド値を下げるか。省エネへの取り組みが始まった。日本テクノの営業担当者は勉強会を複数回実施。ピーク時の省エネ対策など細かなアドバイスを重ねると、従業員の意識は変わっていった。スマートフォンでERIAモニタの表示を撮影し「警告が出ているので空調を確認願います」などLINEメッセージで情報を共有する取り組みが自主的に始まっていった。「時計に表示される電気の使用状況から現在の空調の使い方でどれくらいセーブできるかそれぞれが確認するようになった。その一方で、葬儀が続いたときは人の手による省エネには限界があることもわかりました」。
暑い沖縄の夏、葬儀が重なれば空調の稼働は増える。通夜などで遺体を安置するときも想定以上の空調稼働が必要になることがある。その解決策として選択したのがガス式空調の導入だった。
「費用対効果を考えて一部の空調をガス式にしました。決断の根拠になったのはデマンド閲覧サービスのデータです。デマンドが目標設定値を超えてしまった日の時間帯別使用電力量や気温のデータを業務記録とともに検証し、これ以上の省エネは難しいと判明した。交換後、ガスの使用量を計算に入れても、見合う省エネ効果が出ています」
こうした取り組みによって電気料金のコストダウンが図れ、それは従業員への賞与として還元されている。これが活動への意欲向上にもつながり、今や省エネは全社一丸となって推進されている。前浜さんは「今後も日本テクノさんと密に情報交換を行い、一層の省エネを実現したいと思います」と話す。
(2018年10月取材)
副社長の前浜政典さん。
住所 ● 沖縄県浦添市伊奈武瀬1-7-1
TEL ● 098(866)6111
URL ● https://inanse.com/
創業 ● 1999年
事業内容 ● 葬祭業
株式会社 コンチェルト コンサートホール成増スロット館
コンサートホール成増スロット館
電気の見える化活動情報の周知
■導入前後の比較:
契約電力 ▲7.4%(2017年→2018年)
使用電力量 ▲13.2%(2017年4月~翌年3月→2018年4月~翌年3月)
店内各所に設置した温度計をもとに空調稼働を個別調整
東京都板橋区にあるコンサートホール成増スロット館。店長の中西正宏さんが電気料金のコスト見直しを進めようと本社に相談した際、日本テクノを紹介され、電気の「見える化」を導入する運びになった。省エネには導入以前から取り組んでおり、店頭スタッフの中野龍二さんがその旗振り役になっていた。中野さんは、閉店後に分電盤のブレーカーを入り切りしてお客様に迷惑をかけず消灯できる場所を検証するなどさまざまな試みを実行していた。そんな中野さんにとって電気の「見える化」は強力なツールとなり、省エネ活動は一気に加速した。
まず取り組んだのが空調稼働の効率化。それまでエリアごとの調整しかできなかった空調を、業者に依頼して個別に設定できる仕様に変更してもらった。同時に店内の16カ所に温度計を設置し、それぞれの場所での体感温度を把握できるようにした。設置場所の目安は、座っているお客様の頭の位置。表示された温度を確認しながらの小まめな空調の調節で、使用電力量は順調に改善されていった。
活動にはスタッフの協力も必要になる。シフト制の勤務で約25人が働いており、全員への周知が成功のカギ。そこで中野さんは、電気料金の仕組みや省エネ活動の成果、アイデアなどを盛り込んだオリジナルの「節電新聞」を月刊で発行することにした。記事では、「店にある7つのトイレ便座を最高温度にすると1時間で2219W消費します」など身近でありながら一歩踏み込んだ情報を掲載し、閉店後の電源オフ徹底を呼びかけたりする。
節電新聞で省エネ活動の意味や効果を知らされていったスタッフの意識は徐々に変わっていった。今では、「こうした方がより省エネになるのでは」といった提案も寄せられる。大きな成果を生んだ中野さんの取り組みは、社内表彰を受けた。
力強いスタッフに支えられた店長の中西さんも活動の後押しとなる設備改善を考え「以前のホール全体のLED化では予想以上の効果が出たので、次は店外照明にも着手していく計画です」と話す。
(2019年6月取材)
住所 ● 東京都板橋区成増2-18-12
TEL ● 03(5998)3121
URL ● https://www.p-world.co.jp/tokyo/concert-narimasu2.htm
事業内容 ● アミューズメント事業
北榮興産 株式会社 関口雄揮記念美術館
関口雄揮記念美術館
電気の見える化電力ピーク対策
■導入前後の比較:
契約電力 ▲23.0%(2019年→2020年)
使用電力量 ▲3.9%(2018年5月~翌年4月→2019年5月~翌年4月)
寒い冬──「空調の24時間稼働」が効果を発揮
北海道の風景画で広く好評を博した画家・関口雄揮氏の作品を展示する関口雄揮記念美術館(北海道札幌市)。運営する北榮興産株式会社は、建築用鉄骨の設計、加工、組立を主体とする北榮興業株式会社のグループ企業だ。副館長の髙田裕之さんは、日本
テクノのサービス導入のきっかけを「グループ全体で電気の〝見える化〞を活用し、省エネに取り組むことになりました」と説明する。
だが、美術館の照明はすでにLEDへの交換を行っており、2017年には旧来設備の空調から地熱を利用した使用電力量の少ない最新型への切り替えも済んでいた。そのほかに、人の手によってどんな省エネができるのか不安があった。そこでまず、データ取得のため、従来通りの運営を続けた。
作品展示室と収蔵庫は、絵画の保存状態を良好に保つため、空調で24時間、温湿度を自動的に管理していた。一方、受付とカフェスペースは、早朝にタイマーで空調を起動し、退館時に電源を切る。そうした運用方法のデータを検証したところ、朝のタイマーで空調が稼働した時間に大きな電力ピークを記録しているのがわかった。ここは札幌市の郊外。厳冬期には室内が暖まるまで時間がかかるため、使用電力量も増加する。
「日本テクノの営業さんから、北海道には朝の空調稼働で電力ピークになる企業が多いと聞きました。そうしたケースでは空調を24時間稼働にすると効果があったそうです。そこで、その方法を試してみたんです」
結果は、電力ピーク、使用電力量ともに減少。最終的には契約電力は23%、使用電力量は3.9%の改善が図れた。朝に出勤したときから室内が暖まっているので、スタッフにも喜ばれた。
「それまでデマンドの仕組みは知りませんでした。それを利用した少しの工夫で契約電力が下がったことに驚いています。今後もどんな取り組みができるのか、日本テクノの営業さんと二人三脚で探っていきたいですね」と髙田さんは意欲を見せる。
(2020年12月取材)
住所 ● 北海道札幌市南区常盤3条1
TEL ● 011(593)5050
URL ● http://www.sekiguchi-muse.jp/
事業内容 ● 美術館
株式会社 髙見紙化工所
SMART CLOCKは1階と2階にそれぞれ設置している。
電気の見える化職場環境の改善
■導入前後の比較:
契約電力 ▲15.1%(2016年→2018年)
使用電力量 4.1%UP(2015年12月~翌年11月→2016年12月~翌年11月)
大型空調の代替は工夫した空調服とスポットクーラー
大阪府大阪市にある株式会社髙見紙化工所は、コーティング・ラミネート技術をベースにした印刷加工会社。日本テクノの営業担当者から電気の「見える化」について説明を受けた代表取締役の髙見正行さんは「どれだけデマンド値が変化するのか興味を持った」と2016年にサービスを導入した。
工場の1階と2階にそれぞれ設置したSMART CLOCKの表示が赤色の警告になるのは空調の負荷が増える6~9月。その4カ月間に集中した省エネを実施すれば効果は期待できる。そう考えた髙見さんは、デマンドピーク時に、熱の発生が比較的少ない加工機の近くにある大型空調機を停止することにした。すると作業現場は、一時的に40℃を超えるような過酷な環境になってしまった。「その中で作業するのは無理です。従業員には快適な職場環境をつくると約束して、別の対策を考えました」。
そこで目をつけたのが小型ファンのついた空調服。しかし外気温が高ければ、効果は限定的だ。冷気を感じられるようにポケットに保冷剤を入れてみたが数十分で溶けてしまい、水滴で服が濡れてしまった。服の外にドライアイスもつけてみた。それも短時間しかもたなかった。
「どうすれば涼しさを保てるか、従業員と一緒に試行錯誤しました」と髙見さん。たどり着いたのが、廃材のスポンジでドライアイスを包みメッシュポーチに入れる方法。こうすると冷気は3時間弱続いた。工夫を施した空調服とスポットクーラーを使えば、涼しい環境で作業に集中できる。これで大型空調機の稼働は停止できた。
「以前から職場の環境整備について考えていましたが、SMART CLOCKの導入をきっかけに改善が進んでいます」と話す髙見さんは、電気だけでなく会社全体の「見える化」にも取り組んでいる。機械の不具合やヒューマンエラーをチェックするため駐車場も含めた社内に100台のカメラを設置している。「事故や不良品が出たとき、映像を確認して改善を重ねています。〝見える化〞は思わぬ落とし穴を発見できるんです」。その活動は取引先からの信頼度向上に大きく役立っているという。
(2018年6月取材)
代表取締役の髙見正行さん。
住所 ● 大阪府大阪市平野区加美北1-12-22
TEL ● 06(6754)7755
URL ● http://p-takami.co.jp/
創業 ● 1967年
事業内容 ● 印刷加工業
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