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自然環境との調和で「ゆとりある社会」の実現へ#19/キッコーマン株式会社

 キッコーマンのしょうゆづくりの始まりは、江戸時代初期。本社のある千葉県野田市は、潤沢な水と気候、江戸川の水運にも恵まれ、しょうゆのふるさととして発展した。創業当初から高い品質を守り続けると同時に、地域社会とのつながりを何より大切にしてきた同社。しょうゆを世界100カ国以上に届けるようになった今、果たすべき責任は、ますます大きくなっている。

 環境理念として掲げているのは「自然のいとなみを尊重し、環境と調和のとれた企業活動を通して、ゆとりある社会の実現に貢献します」という決意だ。ここでいう「ゆとりある社会」とは、「個人を尊重し精神的な豊かさに価値を認める社会」を示す。この理念を実現するため、同社の業務に携わる一人ひとりが、創意工夫を尽くした行動を心がける。

キッコーマンのしょうゆは、世界100カ国以上の食卓に置かれている。

ボイラー燃料の約7割は「しょうゆ油」

 生産現場は、製造方法や設備類、エネルギー源の見直しを通して、温室効果ガスの排出削減に努めている。製造過程で排出される副産物や廃棄物の削減をはじめ、再生利用にも余念がない。
 搾ったばかりのしょうゆには、大豆に由来する油「しょうゆ油」が含まれるが、同社では1994年から専用のボイラーを導入し、製造工程から排出されるしょうゆ油の大半を、燃料として利用するようにした。カーボンニュートラルを実現するとともに、野田地区の主力工場で使用されるボイラー用燃料の約7割をまかなっている。
 しょうゆをつくる際に搾りかすとして残る副産物「しょうゆ粕」は、飼料に適しており、同社から排出されるしょうゆ粕のほぼ全量が、畜産農家に提供されている。
 そうした「創意工夫を尽くした」取り組みの結果、2014年度には副産物の再生利用率は99.6%に達した。

しょうゆ粕のほぼ全量を畜産農家に飼料として提供している。


 容器包装に関する取り組みにも力を入れる。現在では主流となっているペット容器は1977年にしょうゆ製品で採用。食品業界では初めてのペット容器の採用事例となった。それ以降も改良を重ね、容器の薄肉化や強度・品質保持能力の向上を図っている。
 使用済み容器をリサイクルしやすくする活動も進める。リサイクルにはキャップなどの分別が必要になるが、同社は中栓を外しやすくした「Ⓡエコキャップ」を1999年に他社に先駆けて開発した。消費者からも好評を得たが、それに甘んじることなく、以後2度にわたり機能性や取り外しやすさを向上したキャップに変更している。

 1917年にキッコーマンの前身である野田醤油株式会社が設立され、今年で100周年。同社の環境保全活動の歴史は、1970年の公害対策委員会発足に始まり、毎年のように新たな施策を実現してきた。今後も自然環境との調和と地域社会との共生を軸に、地に足をつけた事業活動を続けていく。

こぼれ話

 キッコーマンでは、社員研修カリキュラムに環境保全に関する講座を積極的に組み入れることで、グループ全体の環境保全意識の向上を図っています。2015年9月には、長年に渡って環境保全活動に取り組むC.W.ニコル氏を講師に招き、講演会を開催。森や水、動植物など、自然の重要性について、一人ひとりがより深く関わろうとする姿勢を持ってほしいというお話がありました。参加した社員からは、「自然と触れ合うことの大切さがよく分かった」「自然豊かな日本の良さを改めて再認識した」などの意見が寄せられたそうです。

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