• Eco Story
  • 時代の流れとともに変化してきた環境問題に対する企業の取り組みを紹介します。

世界に広がる「住まい」の環境配慮#10/株式会社 LIXIL

 「良い住まい、良い暮らしにつながる絆を、世界に広げる」という使命を抱き、家一棟分の環境配慮型商材をラインナップする株式会社 LIXIL(リクシル)。窓や外壁などの外まわりの部材をはじめ、居室では断熱効果を高め、温度差が少なく、からだにも優しい室内環境を提供する。トイレ・バスルーム、キッチンなどの水まわりでは、水勢や構造を最適化することで節水につなげるといった、省エネリフォームを提案しており、事業活動の場は日本にとどまらず、いまや世界へと広がっている。

 国内の住宅をはじめとした民生部門のエネルギー消費量は増え続けている。そして、断熱性能が低く旧来型の設備が使われる住宅がまだ多く存在している。それに加え、東日本大震災以降はエネルギーそのものが社会的な関心を集めるようになった。
 そんな社会背景の変化に伴いLIXILの環境活動も転換点を迎えた。
事業活動におけるCO2排出量の削減という観点から、エネルギーそのものを削減することに考え方を転換した。それは、原材料の調達から消費者による製品の使用・廃棄といった、間接的に影響のある場面まで含めたライフサイクル全体が及ぼす膨大なエネルギー消費量の削減を、重要課題として捉え直したからだった。

 これに基づいてLIXILは、省エネかつ低コストで快適な住まいを実現するため、躯体や開口部の高断熱化を第一に考えた。そうして生まれたのが「パッシブファースト」という思想だ。住宅の性能を設備機器だけに頼るのではなく、断熱、気密、通風、採光、日射遮蔽という自然環境を考慮した建物全体が持つ基本性能を優先する考え方。設備機器を含む住まい全体と自然とが共存できる提案である。
 高断熱化とともに、節水・節湯機能を高めた製品や太陽光発電などにより、消費エネルギーを大きく減らす。目指すは一棟あたりの一次エネルギー消費をなくす「ネット・ゼロ」製品の開発だ。

 「今後は、省エネや耐震化、高齢化社会への対応によって、住宅のリフォーム需要が増えていくと考えます。LIXILは社会課題解決につながる幅広い視点で商品を開発していくとともに、適切なサプライチェーンを編成し、地域や社会の一員としてステークホルダーとの相互理解を深めながら事業活動を行っていきます」(CSR推進グループリーダー・小野聡志さん)
 環境配慮の思想を長期的で持続可能なものにするには、本業との密接な関係づくりが必要不可欠。いくつもの住宅設備メーカーが統合してできたLIXILが担う役割は、商品単位にとどまらない。同社はその影響力をしっかりと認識しながら、そこに存在するさまざまな問題に対し、積極的な働きかけをする姿勢を表明し、住生活産業における真のグローバルリーダーとなるべく、歩みを進めていく。

こぼれ話

LIXILグループは、持続可能な社会の発展に貢献していきたいという思いから、さまざまなステークホルダーの方々との「対話」を大切にしているそうです取材の際、とくに印象に残ったのが、自治体・自治会でご活躍されている方やその地域にお住まいの方々との交流について。LIXILグループの工場やショールームなどで地域交流・地域貢献などをテーマに、定期的に対話を重ねられています。対話を通じて事業内容を広く知ってもらうとともに、社会から何を求められ、何に挑戦しなければならないのかを考える貴重な場となっているそうです。

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