森林破壊が気候変動に及ぼす影響を知る
毎年、日本の約半分の面積にあたる森林が世界各地で伐採されています。近年「森林破壊」という言葉を耳にすることがありますが、どのような問題があるのでしょうか。今回のコラムでは、森林破壊についてご紹介します。
森林の減少
国連食糧農業機関 (FAO) の統計によると、全世界の森林面積は1990年には4,236,433千haでしたが、2020年には4,058,931千haとなりました。すなわち、この30年間に177,502千haの森林が消滅しました(全世界の森林面積の4.1%に当たります)。森林破壊の主な要因は、先進国向けの商業的伐採です。途上国で伐採された木材のほとんどは先進国へ運ばれ、大量消費されています。さらに森林を切り拓き工業団地やリゾートがつくられているため、森林は急激に減少しています。
私たちの住む日本の地形は山が多く、森林の割合が国土の約67%(約2,500万ha)を占めています。森林大国といわれていますが、人口が多いため、1人当たりの森林量は世界平均の6分の1ほどです。また、日本は世界第3位の木材輸入国です。ロシアやカナダ、アメリカ、マレーシア、中国などから大量輸入しており、それらの国では森林の減少が進んでいます。
森林の役割
森林には主に以下の役割があります。
・二酸化炭素と大気中の汚染物質を吸収して酸素を放出する(光合成)
・多くの生物を養い、食物連鎖によって支え合う(生物多様性)
・落葉、生物の糞や死骸などが豊かな土をつくる(豊かな土壌)
・森林土壌が雨水を一時貯留し、河川へ流れ込む水量を平準化する(天然のダム機能)
美しく豊かな地球環境の維持には欠くことのできない存在です。
森林破壊の影響
森林破壊は気候変動にも影響を及ぼしています。森林は地球上で排出された二酸化炭素を光合成で吸収します。工場や車から排出される二酸化炭素量が増える一方、経済発展とともに森林はどんどん伐採・破壊されています。二酸化炭素の排出が増え続けると、地球の気温や海水の温度が上昇する地球温暖化が起こります。温暖化はさまざまな環境の変化をもたらします。たとえば北極圏の氷が溶け海抜が上昇、海抜が低い地域は海に沈んでしまいます。また海水温の上昇によってサンゴ礁が失われてしまう可能性もあります。サンゴ礁で有名なオーストラリアのグレートバリアリーフは、年々面積が減少しています。ここ数年オーストラリア周辺では、干ばつや急激な気温上昇によるエルニーニョ現象、豪雨などにより水温が上がり、陸地から土砂の大量流出が続いています。これらにより、以前は日本の面積とほぼ同じ広さを有していた広大なサンゴの生息区域は年々小さくなっています。
私たちにできること
以上のように森林破壊が続くなか、私たちに何ができるでしょうか。比較的簡単に取り組めることを以下に挙げました。
・「5R」(Reduce:減らす、Reuse:再利用する、Recycle:リサイクルする、Refuse:断る、Repair:修理する)の徹底
・使い捨ての割り箸や紙コップなどをなるべく使わない
・過剰包装は断る
・レジ袋を購入せず、エコバッグを携帯し使用する
・再生品など、グリーン購入を心がける できることから実践し、少しでも森林が破壊されるのを食い止めていきましょう。
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