• サステナブルノート
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指標生物・トンボに学ぶ 自然環境の動向

澄みきった秋の空を飛ぶ赤トンボ。トンボの幼虫ヤゴは、きれいな水を好む水生生物という印象がありますが、実は同じトンボでも種類によって生息域は異なります。
河川の上流の冷たいきれいな水を好むもの、田んぼや池など静かな流れの場所を好むものなどさまざまです。

指標生物って何?

トンボのように、生息できる環境が限られている生物を「指標生物(環境指標種)」といいます。よく知られているものとしては、水生生物のサワガニ、カゲロウ、ホタル、タニシなど。これら生物の生息域やその変化を調べることで、自然環境の動向を知るひとつの指標となるのです。
また生物とは少し違いますが、セミの抜け殻なども指標のひとつとなるそうです。一方で同じ生物でも、大型の動物などは移動範囲が広いため指標生物には適していません。

小中学生が水生生物調査に参加

環境省では、1984年(昭和59年)より誰でも参加のできる水生生物調査を実施してきました。
調査では、全国に広く分布している水生生物約30種類を指標生物に選定し、地域ごとにその数や種類を分類。生息する生物の分布状況によって、水質の状況を「きれいな水」「ややきれいな水」「きたない水」「とてもきたない水」の4階級に判定します。
この調査には多くの小中学生も参加しており、自然環境の把握とともに、参加者の環境意識を高めるよい機会となっています。

環境省の「 水生生物調査 」の詳細はこちら

地域の力で水質環境改善!

埼玉県本庄市を流れる利根川水系の小山川・元小山川は、かつては豊富な湧き水が流れ、夏にはアユ釣りやホタル観賞が楽しめる川でした。ところが高度経済成長期の生活排水によって水質が悪化し、1985年頃には県内でも水質ワースト2位を記録する状態になってしまいました。
そこで2001年より行政と住民が協力して水質環境の改善に取り組み、水質調査も実施してきました。その結果、近年では長年姿を見ることがなかったシマドジョウが採集されました。シマドジョウは比較的水のきれいな場所にすむ生物。ドジョウ以外にも採集される生物の種類が増え、水質も改善傾向にあります。

上記の事例からも見られるように、自然環境の変化は決してマイナス方向への一方通行ではありません。地域の力を合わせることで、生物にとっても、人間にとっても住みやすい環境が守られるのです。

毎年9月中旬から下旬にかけて(基本的には国連総会の会期に合わせた期間)、SDGs週間が設けられています。あらためて一人ひとりが持続可能な社会について考える機会にしていきたいですね。

関連動画

自然に寄り添う省エネ活動に取り組む企業 「省エネの達人『企業編』」第359回 旅館紅鮎



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