予備率確保も見通し厳しく

政府冬季の電力需給対策決定

 政府は2022年11月、冬季の電力需給対策を決定した。前回6月の検討会合で策定した総合対策の実施で供給の予備率(ページ下部に用語解説)は、全国すべてのエリアで最低限必要とされる3%が確保できる見込みになったが、予断が許される状況ではなく、供給・需要・構造面で複数の取り組みを示した。

 対策は政府の「電力需給に関する検討会合」で決められた。2022年6月の前回会合時点でまとめられた見通しでは、10年に1度の厳寒を想定した需要に対し、2023年の1月と2月が、東京を筆頭に多くのエリアで予備率3%を下回る推計になっていた。それに対し追加供給力対策などが実施され、今回の会合時点ではマイナス0.6%だった1月の東京エリアが東北とともに4.1%になるなど逼迫状況はある程度緩和された。

 ただ、ここ数年は見通しの想定を超える需要増がたびたび発生しており、特に冬季は2020年度から2年連続で最大電力実績が予測を上回るエリアが多数あった。また、国際的な燃料価格の高騰も懸念される。そうした見通しの厳しい状況でも国民生活に支障がないよう対策を提示した。

 供給面では電源や燃料調達の募集。需要面では無理のない範囲での節電の協力の呼びかけ、省エネ対策強化。構造的対策では予備電源の確保、燃料の調達・管理の強化などの対策が進められる。


予備率
 電力の需要に対し供給がどれほど余力を持つか示す値。供給力から最大需要を引いた値を最大需要で割って算出する。数値が高いほど供給に余裕がある。
 安定供給には最低限3%が必要とされ、急激な天候変化での需要増や発電所のトラブルなどに備え7〜8%にすることが望まれる。これがマイナスになる場合、供給力不足を意味し大規模停電が発生する可能性もある。

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