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つながりを軸にカーボンニュートラル、地域貢献 #41/三協立山株式会社

 三協立山株式会社はアルミを中心に建築用サッシなどの建材や産業機械の部材、商業施設等で使用する什器などを製造・販売する総合メーカー。1960年の創業当初より地元、得意先、従業員の三者が協力し、ともに発展したいという「三者協業」の精神を現在に受け継いでいる。

 国内外に関連企業をもち、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、2030年までに自社が直接・間接に排出する(スコープ1・2)温室効果ガス(GHG)排出量を2017年度比で50%削減すべく取り組んでいる。

「当社はこれまで本社や支店、工場等での照明のLED化やバッテリー式フォークリフトの導入などを通じ、使用エネルギーの削減および効率向上に取り組んできました。加えて、国内4工場に二酸化炭素(CO2)フリーの電力を導入することにより、2022年度のGHGは2013年比で20.6%削減しました。2023年に新たに2工場へ導入し、さらなるGHG削減を目指して取り組んでいます」(サスティナビリティ推進部部長 安田雄一さん)。今後は、原材料仕入や販売後に排出されるもの(スコープ3)も含めグローバル全体での削減を推進していく。

 さらに資源循環型消費への移行を促進するために、原料のリサイクルにも積極的に取り組んでいる。一言でアルミ製品といっても、近年は顧客のニーズに応える中でさまざまな原料を添加したものが存在する。そのため、再生利用は一筋縄ではいかない。2022年8月からはアルミリサイクル技術の高度化を目指し、富山大学と共同研究を開始した。2023年現在、原材料のアルミのうち約50%をリサイクル材にできている。今後はリサイクル専用炉の導入などを進め、リサイクル率をさらに高めていく考えだ。

 同社のシンボルマークはツインリーフ。これはハート型の葉をもつ新芽であり、人と人、社会と企業といったつながりを柔らかいフリーハンドで表現している。その名を冠した自然保護活動が「ツインリーフの森づくり」である。

「富山県が推進する“企業の森づくり”に参画し、高岡市のレジャー施設モンラック・タカオカで社員とその家族が植樹や維持管理のボランティア活動を行っています。地域に貢献したいという当社の考え方が現れた活動です」(安田さん)

 時代に即し、技術を進化させ、材料の有効活用からエネルギー使用の効率化、さらには地域貢献でもある森林保全まですべてのシーンで環境負荷を減らす。2050年カーボンニュートラルとその先を見据えた同社の挑戦に終わりはない。


こぼれ話

 三協立山株式会社はグループ全体で国内外30社以上を展開しており、商業施設の運営管理も手掛けるなど、祖業のアルミ建材製造に端を発し、多角的に事業を展開しています。現在の温暖化対策の状況についてご担当者は「単純な省エネ・効率化から、取り組みのフェーズが変化しました。現在は化石燃料の電化によるエネルギー置換を通じ、エネルギー消費量の圧縮を図っています」と話してくださいました。再生可能エネルギーの積極的導入によりGHGは順調に減っていますが、今後はこれまで以上の削減が必要です。「グローバルに全体を俯瞰し、各事業場でエネルギーコントロールの質を上げること」が最も重要であり、とくにアルミ製品のリサイクルは原料の節約と加工時のエネルギー消費が抑えられるため、積極的に取り組みたいとのことでした。これまでよりも少ないエネルギーと原料を使い、生産効率の向上を進めるという、ある意味で製造業の永遠の課題に向き合っている姿が印象的でした。

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