• Eco Story
  • 時代の流れとともに変化してきた環境問題に対する企業の取り組みを紹介します。

目指すは食品廃棄量ゼロ#12/森永乳業 株式会社

 乳製品は自然の恵みがあってこそ成り立つ商品──。森永乳業はその思いのもと、1990年代初頭から環境保全に取り組んできた。製造から供給に至るまでの食品廃棄量ゼロを目指すとともに、各工場では、早くから省エネルギーに取り組み、廃熱を再利用するコージェネレーションシステムの整備を進めてきた。

 ヨーグルトや牛乳といったチルド商品は賞味期限が短いため、細かな需給調整が求められる。生産企画部が全国の工場の製造量・在庫・受注数などを把握し、大きな過不足が出ないように全体をコントロール。そして、各部門が協力して食品廃棄を最小限に抑える取り組みを行っているが、ゼロではない。
 そのため森永乳業は長年、賞味期限そのものを長くする技術の開発に力を入れてきた。長期保存できる「ロングライフ商品」は、以前はレトルト殺菌製法による缶などの商品しかなかった。無菌充填製法や容器の材質などさまざまな技術を研究開発し1981年にブリックパック飲料の「ピクニック」(現在はプリズマパック飲料)、1993年にはカップタイプ飲料の「マウントレーニア」を発売。カップタイプのロングライフ商品は同社が日本で初めて商品化した。

賞味期限は「ピクニック」が常温で90日間または120日間、
「マウントレーニア」は要冷蔵(10℃以下)で70日間。

残渣をほぼ100%熱源として利用

 一方、工場ではコージェネレーションシステムの導入を積極的に進めるとともに、基幹工場の一つ神戸工場では、生産過程で発生する残渣をエネルギー転換し、有効利用している。きっかけは、2006年の「マウントレーニア」のプレミアムシリーズの発売だ。コーヒー規格の2倍量の豆を贅沢に使用することで好評を得たが、同時にコーヒーかすの量が膨れ上がった。残渣削減と有効活用を求め、バイオマス熱利用設備をNEDOと共同開発。残渣のほぼ発生しないシステムを構築し、ガス使用量も約20%削減した。この取り組みが評価され、神戸工場は2012年度の循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰を受けている。

 森永乳業には常に消費者ニーズと社会の流れを読み取り、新たな取り組みを続けるチャレンジ精神の土壌がある。継続することで見えてくるものがあり、その探究心こそが活動の源だ。今後も地域や環境に貢献し、社会との「共感の輪」を広げていく。

こぼれ話

森永乳業は、今回紹介した神戸工場での取り組み以外にも、さまざまな環境保全活動に積極的に取り組んでいます。
その成果は、2009年度の循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰、2014年度の地球温暖化防止活動環境大臣表彰の受賞にも表れています。
こういった数々の受賞の背景には、従業員がやりがいを持って活き活きと働ける環境づくりにあるそうで、常に新しいことを模索し、 挑戦し続けている同社の企業姿勢を強く感じました。

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