効率的使い方を追求し 安定供給の重要性に こだわった事業展開の姿
2016年4月に始まった電力小売り全面自由化からまもなく3年になる。異業種も含め500社にのぼる企業が電力小売事業者として参入している。電力小売りの自由化は2000年の特別高圧の需要家から始まり、2005年に50kW以上の高圧需要家にまで拡大した。当社は2009年から高圧需要家向けに電力小売りを始めている。
ただし当社の電力供給の対象はSMART CLOCKやSMARTMETER ERIAを導入し、電気の「見える化」を採用した企業限定である。理由は、供給力確保による安定供給と、需給の同時同量の重要性にこだわるからだ。そのこだわりに大きく関係するのが、以下のような当社の成り立ちである。
1995年設立。高圧受変電設備の監視装置の販売と保安点検業務から事業を開始した。その後、電気料金デマンド制への移行を受け、デマンド超過を知らせるパトランプを開発。さらに環境問題への関心から使用電力量を「見える化」するSMARTMETERERIA(モニター)、時計と融合したSMARTCLOCKを投入した。
その間に、単一のデマンド目標だけではなく、きめ細かな省エネ活動を可能にする30分単位の目標設定機能も加えた。これにより、季節や時間単位での目標設定ができるようになった。例えば、昼休みの消灯で使用電力量の削減を心がけている企業は多いが、その際、空調の消し忘れがあっても目標設定が高いままでは警報は鳴らない。昼休みだけ設定を低くすれば、警報により空調の消し忘れに気づける。
このように無駄を省くことをユーザーとともに考えてきた。機械に振り回されるのではなく、自分たちで使い方を決めるのが前提だ。あるサービス業のユーザーは、デマンドが上がったことを前向きに受け止め「店が満員で省エネ対策ではなく、お客様への対応を優先したから」と笑顔で語っていた。「見えていたから判断できた」のであり、知らずに上がっていたら疑問しか残らない。製造業ならば納期に間に合わない事態に対応する場合などが当てはまるだろう。
使用電力量を増やしても、お客様への対応を優先する、生産を増やすなどの判断ができるようSMART CLOCKでの警報から始まり、ERIAモニターでの警報、最後は指定先への自動音声電話通報と3段階の警報機能も搭載した。
その一方、電力小売り事業は確実な供給力をつけながら慎重に進めた。東日本大震災後に大手電力会社以外では初めてとなる自社火力発電所を建設。電気設備の安全、安心を守り、「見える化」で電力の使い方を考えてきた結果、企業体質として供給力確保による安定供給と同時同量の重要性にこだわる意思が育まれたのだと考えている。
電力の使用は、需要家の意思が優先されるべきで、供給側の都合に左右されるべきではない。優先されるべき意思に応えられるだけの力を確保できたとき初めて電力小売り事業を進めた。その担保として、対象を「見える化」の採用企業に限定したのである。
なお、当社の「見える化」と「電力供給サービス」を組み合わせれば、日本卸電力取引所(JEPX)における取引価格高騰の時間帯に、電力使用を控えることもできる。これも需要家の意思に合わせた運用法の1つだろう。当社ではJEPX公表データをグラフ化しわかりやすく比較できるサイト「環境市場(かんきょういちば)」も構築している。
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