個人が意見しやすい環境へ/チームの仕事を考える<2>
同調圧力の影響があることを意識して
今回は周りに流されてしまう心理について。多数派の意見には、明確な働きかけがなくても暗黙のうちに少数派を抑え追従させる側面があります。それは同調圧力といい、チームの仕事を考えるうえで意識しておくべきこころの作用です。
同調圧力を示す有名な実験があります。右の図を見てくださ
い。Aと同じ長さの線は、①②③のどれでしょうか。もちろん正解は①です。ところがもし、多くの人が「正解は②」と答えたとしたらどうでしょう。
アメリカの心理学者ソロモン・アッシュ博士は事前に仕込んでおいたスタッフたちに何も知らない被験者を1人加えてこの問題を出しました。スタッフがわざと間違って答え、それを聞いたうえで回答する状況をつくったのです。結果、被験者の多くが仕込みによる多数意見に同調して間違った回答を出しました。普通の状況ならほとんどが正解するにもかかわらず。
線の長さを比べる単純な判断でさえ同調圧力が働き、正しいと思う回答ができなくなってしまう。そんなこころの傾向を明確にした実験です。この同調圧力は、仕事における打ち合わせや意思決定が伴う会議などではより強く働くといわれます。
とはいえ明らかな誤りに賛同してしまうケースは別として「同調」には集団の秩序を維持するというよい面もあります。その利点を踏まえながら、個人の意見は同調圧力が影響すると知っておくのが大切です。チーム内にそうした意識があれば、賛否にかかわらず自分の意見を発しやすくなり、風通しのよい組織に育っていきます。主流派の考えと別の意見があるときは、いったん話題が終わった後や別の機会を見つけて伝えるなど圧力を回避する工夫も自然と生まれてくるでしょう。
相手を気遣いながら自分の意思を伝える方法は、「アサーション」と呼ばれています。同調圧力の影響を受け過ぎず、考えを適切かつ建設的に伝えられるよう、相手も自分も大切にしながらコミュニケーションを取りチームの仕事を進めましょう。
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