• サステナブルノート
  • 省エネ、エコといった日常の暮らしに彩りを添える豆知識から、地球温暖化や環境問題まで、サステナブルな暮らしを送るのに役立つ広範囲な情報を紹介。また、随時特集と銘打ってその時期ホットな話題を深掘りします。

旅も環境負荷を考え選ぶ時代 サステナブルツーリズムという考え方

サステナブルツーリズムという言葉をご存じでしょうか。自然や文化を守りながらその地域を活性化させ、周辺住民の暮らしをよりよくしていくことをめざした言葉で、直訳すると『持続可能な観光』。環境、文化、経済を主軸として観光地の本来の姿を維持しながら観光開発を行うことを指します。 最近では、旅行先を決める際に旅行者は『そこでどんな体験ができるか』にくわえ、『どれだけ環境に配慮した内容か』ということも重要な選択肢となっているようです。

サステナブルツーリズム誕生の背景

第二次世界大戦を経て世界各地で経済が成長するとともに、以前は上流階級の人々の娯楽であった観光が大衆の間でも流行し、多くの人々が旅行を楽しむ「マスツーリズム」の時代がやってきました。しかし旅行を楽しむ一方で、観光地のキャパシティ以上の観光客が訪れるオーバーツーリズムが発生したり、ごみ問題や騒音問題、交通量増加による環境破壊が行われたりと問題も多く発生するようになりました。 こうしたことから、観光資源の保護や観光そのものについての考え方を見直す風潮が生まれました。1990年代以降は車両の排気ガス規制をはじめ、観光地への人数制限やホテルや交通機関での不要なサービスの廃止などの、環境を保護・維持するための取り組みが積極的に行われるようになりました。

旅行者も旅行先もハッピーに

サステナブルツーリズムの主軸が環境、文化、経済であることはお話ししました。娯楽や流行りを求めて旅先を選ぶのももちろんですが、伝統的な文化や建築物、郷土料理を体験するということを目的に選ぶのも文化の保護や存続、そして自身の知識を深める機会になります。 またBooking.comの調べによると日本の旅行者の半数近くが地域文化の体験に興味を示していて、旅行中の交通手段やごみの量、エネルギー消費については6割以上の旅行者が取り組みに関心を示しています。こういった旅行者の増加は旅行先として選ばれる観光地の意識の高まりにも寄与し、双方の質の向上が期待できます。

Booking.com 「サステナブル・トラベル」に関する調査結果2021

日本でもよりサステナブルな宿泊体験を

文化や自然を体験しに旅行へ出かけるのに宿泊先の選択も欠かせません。調査結果を見ると『サステナブルな宿泊施設に滞在したい』という項目について、世界の旅行者が81%に対して、日本の旅行者は36%とかなり低い数値となっています。その要因として、『存在を知らなかった』『選択肢になかった』といった回答が挙げられています。環境への負荷の面でいえば、脱プラスチックを背景としたアメニティの見直しや省エネルギー対策、客室の清掃などホテル側も力を入れていますが取り組みがあまり伝わっていないのが現状のようです。予約前にホテルのサイトでどんなことに取り組んでいるか確認するなど、私たち宿泊する側もアンテナを張って環境トレンドをキャッチし宿泊先を選んでいきたいですね。

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