地熱発電とは
地球の内部で作られているマグマから出ている天然の水蒸気を使って、タービンを回転させて電気に変換する。 日本は多くの火山が分布しているため、有効な発電の一つとして注目されており、 火山の多い東北や九州を中心に各地に発電所がある。 発電方式は、いくつかあるが「フラッシュ発電」と「バイナリー発電」が特に多い。

地熱発電のメリット
- 二酸化炭素の排出量がほとんどない
- 枯渇の心配がない
- 季節や天候の影響を受けにくい
- 日本は世界屈指の地熱保有国
- 使わない熱水を温浴施設に使用できる
- 再生可能エネルギーのなかでも変換効率がいい(太陽12%、風力20%、地熱70%)
地熱発電のデメリット
- 温泉の質の劣化や温泉地の景観に影響
- 国や地元行政からの支援が少ない
- 候補地の多くが国立公園や国定公園であり、自然公園法で守られているため建設しにくい
- 地質調査や発電所建設など時間とコストがかかる
発電のしくみ
地下1000~3000mまで掘られた小さな穴から出てくる200℃~350℃、1.5~15MPaの 蒸気と熱水から気水分離機(セパレーター)を通して蒸気のみを取り出してタービンを回転させる。 セパレーターで蒸気と分けられた熱水は地下へ戻される。
発電の種類
フラッシュ発電(シングルフラッシュ発電)
地熱流体をセパレーターで蒸気と熱水に分け、蒸気で直接タービンを回して発電する。
200℃以上の高温地熱流体での発電に向いている。日本の多くの発電所がシングルフラッシュ発電。

ダブルフラッシュ発電
セパレーターで分けられた熱水からフラッシャー(減圧器)で低圧の蒸気を取り出し、 高圧蒸気と低圧蒸気の両方でタービンを回して発電。
シングルフラッシュより約20%出力が増加する。
バイナリ―発電
150℃以下の温度だとタービンを回せるだけの蒸気が作れないため、 水よりも沸点の低い二次媒体(水とアンモニアの混合物)を温めて発生した蒸気でタービンを回して発電する。

ドライスチーム発電
地下から上昇してくる蒸気をタービンに直接取り込んで発電する。
温泉発電にも注目
80℃を超える温泉が湧き出ている場所で、温泉をバイナリー発電の熱源として使用する。 原理は地熱発電と同じだが、湧き出てた温泉を使うのであらたに地面を掘る必要がなく初期費用も少なく済む。
天候に左右されず一定の発電ができ、平均稼働率は8割ほどで太陽光発電の5倍~7倍にもなる。
発電に使用した温泉は、温度が下がり浴用に利用できる。
地熱用のタービンの7割が日本製
地熱発電の重要な部分であるタービンは日本のメーカー3社が製造しており 全世界の約7割を占めている。

- 1位:アメリカ(約3,400MW) 2位:フィリピン(約1,800MW)
- 3位:インドネシア(約1,300MW) 4位:メキシコ(約1,010MW) 5位:ニュージーランド(約1,000MW)
- 6位:イタリア 7位:アイスランド 8位:ケニア 9位:日本(約500MW)
開発の進め方
1:地表調査(1~2年)
衛星画像、航空写真を利用した空中探査や地表踏査。

2:地下調査・評価(3~5年)
坑井を掘り、地熱貯留層の圧力、温度、熱源から熱の伝わり方を確認する。 噴気試験を行い坑井の能力を調査して、周辺温泉などへの影響も確認。

3:環境アセスメント(6~9年)
周辺の環境や温泉への影響がないよう開発方法を検討する。 その後、森林法、温泉法、国土利用計画法などの法令の許認可継続を進める。
手続きが完了するまで4年以上はかかる。

4:建設(10~12年)
建設の際は、周囲の景観に調和できるようデザインや色に配慮する。

5:操業(13年~)
安定して利用するために貯留層の状態に異常がないか常時監視を行う。
主な日本の地熱発電所

| 都道府県 |
発電所 |
| 北海道 |
森発電所 |
| 岩手県 |
松川地熱発電所、葛根田地熱発電所 |
| 宮城県 |
鬼首地熱発電所 |
| 秋田県 |
上の岱地熱発電所、澄川地熱発電所、大沼地熱発電所 |
| 福島県 |
柳津西山地熱発電所 |
| 長野県 |
七味温泉ホテル渓山亭バイナリー発電所 |
| 東京都 |
八丈島地熱・風力発電所 |
| 兵庫県 |
湯村温泉観光交流センター、薬師湯温泉バイナリ―発電所 |
| 熊本県 |
小国まつや地熱発電所、わいた地熱発電所 |
| 大分県 |
杉乃井地熱発電所、大岳発電所、八丁原発電所、滝上発電所、九重地熱発電所、瀬戸内自然エナジー発電所、 五湯苑地熱発電所、タタラ第一発電所、湯山地熱発電所、亀の井発電所、コスモテック別府バイナリ―発電所、菅原バイナリ―発電所 |
| 鹿児島県 |
山川発電所、大霧発電所、霧島国際ホテル地熱発電所、メディポリス指宿発電所 |
地熱発電の固定価格買取制度の比較表
|
2015年度 |
2011年度 |
| 地熱 |
15,000kW以上 |
15,000kW未満 |
15,000kW以上 |
15,000kW未満 |
| 買取価格 |
26円+税 |
40円+税 |
26円+税 |
40円+税 |
| 調達期間 |
15年 |
15年 |
15年 |
15年 |