日本の温暖化 明解・詳細に解説 環境省など 「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート」
018年2月、環境省、文部科学省、農林水産省、国土交通省、気象庁は、主に日本を対象として地球温暖化に関する知見をまとめた「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018〜日本の気候変動とその影響〜」を発表した。レポートの概要を記したパンフレットも公表している。
レポートは、国、自治体、国民が、地球温暖化対策を推進していく際に役立つよう最新の科学的知見を提供する目的でまとめられた。全3章で構成され、第1章は、温暖化など気候変動の要因やメカニズムの解説。第2章は、これまでの観測結果と将来予測。第3章は、温暖化がもたらす影響について、農業、水環境、生態系、健康、産業など個別分野ごとに紹介している。また随所にコラムを設け、用語解説や温暖化が避けられない場合の適応策の具体例、トピックなども盛り込んだ。
日本に関する情報を詳述するだけでなく世界の状況も簡潔に紹介している。例えば第2章の平均気温の項では日本が100年当たり1.19℃で上昇しているのに対し、IPCC第5次評価報告書による世界の気温上昇は133年間で0.85℃であることを述べ、日本は世界平均よりも気温上昇速度が速いと示している。世界全体の状況とともに自国の現状や将来予測を目にすることで、地球温暖化の切迫感がより身近に感じられる。
また、レポートと同時に公表された概要パンフレットは表紙を含めて全8ページ。気温、降水、積雪、コメの収量・品質、河川の流況、熱中症など項目ごとの将来予測や現状との比較といった情報が記されており、予備知識の少ない人でも理解できる構成になっている。
同様のレポートはこれまで環境省、文科省、気象庁によって2009年と2013年に作成されている。今回、農水省と国交省が加わって、最新の情報がまとめられた。
▼RCPシナリオ
地球温暖化が将来どの程度のレベルで進行するかの想定パターン。
国際的な基準になっている「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書」では、RCP2.6、RCP4.5、RCP6.0、RCP8.5の4つのシナリオを用いて、それぞれの将来予測を立てている。RCPに続く数値が大きいほど、21世紀末に放射強制力(地球温暖化を引き起こす効果)が大きいことを意味する。
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