実質排出量2013年比21.5%減
環境省/国立環境研究所 2020年度温室効果ガス集計確報値
環境省と国立環境研究所は2022年4月、2020年度の二酸化炭素(CO2)をはじめとする日本の温室効果ガス排出量をまとめ、確報値として公表した。総排出量はCO2換算(以下同)で11億5000万トン。そこから植林や都市緑化などによる吸収量4450万トンを差し引いた実質排出量は11億600万トンだった。これは基準とする2013年度総排出量の14億900万トンと比べ21.5%の減少になっている。
吸収量を考慮しない総排出量では基準年度比18.4 % 減、前年度の12億1200万トンからは5.1%減。これは2014年度以降7年連続の減少になる。排出量算定を開始した1990年度以降最少で、3年連続で最少を更新している。
環境省では、前年度からの減少要因に、新型コロナウイルス感染拡大による製造業の生産、旅客機の運航、貨物輸送の減少でエネルギー消費量が減ったことなどを挙げている。また基準年度からの減少要因には、コロナ禍の影響に加え、省エネの進展、再生可能エネルギーの拡大や原子力発電所再稼働による電力の低炭素化なども挙げた。
温室効果ガスの種類別ではCO2やメタンなどが減少傾向にある一方、代替フロンのハイドロフルオロカーボン類(HFCs)の排出量が年々増加している。2020年度の排出量は5170万トンで、2013年度比で61.0%増加した。温室効果ガス全体の約9割を占めるCO2排出量は10億4400万トン。その部門別内訳は、工場など「産業部門」が3億5600万トンで前年度比8.1%(3120万トン)減、自動車など「運輸部門」が1億8500万トンで同10.2%(2100万トン)減、商業やオフィスなど「業務その他部門」が1億8200万トンで同4.7%(890万トン)減、「家庭部門」が1億6600万トンで同4.5%(720万トン)増だった。家庭部門が前年から増加した要因はコロナ禍で在宅時間が増えたことなど。日本は2050年のカーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)実現の前段階として2030年度に2013年度比46%減の目標を表明している。今回の21.5%減から今後10年で、削減量を大きく積み増ししていく必要がある。
この確報値は、国連気候変動枠組み条約事務局に、日本の温室効果ガス排出・吸収目録として正式に提出される。
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