2023年平均気温産業革命前から1.45℃上昇
世界に警鐘「パリ協定目標値までわずか」 WMO報告
世界気象機関(WMO)は2024年3月、年次報告書「地球気候の現状2023」を公表した。昨年の世界平均気温は産業革命前からおよそ1.45℃上昇し、観測史上最も高いと示した。上昇を1.51℃までに抑えるパリ協定の目標に迫る値。WMOのセレステ・サウロ事務局長は「一時的だが目標値にこれほど近づいたことはない」と世界に対策を呼びかけた。
報告書は3月23日の世界気象デーに合わせて発表された。その中で過去の記録が更新されたとするのは平均気温だけではない。主要な温室効果ガスについては、二酸化炭素(CO2)が産業革命前から50%増加するなどそれまでの最高値を年々引き上げている。
海域への影響も深刻で90%以上のエリアが1年間のいずれかの時点で熱波状態にあった。海氷や氷河の消失も過去最大量になるなどし、氷の融解と海洋の熱膨張で海面水位を押し上げている。世界の平均海面上昇率は、衛星観測を始めた1993年から2002年までの10年間に比べ2014~2023年は2倍以上になった。
異常気象やその被害にも触れている。ミャンマーを中心に170万人の避難民が出たサイクロン・モカなど各地で発生した熱帯低気圧、カナダやハワイの大規模な森林火災、アフリカなど多くの地域で見舞われている干ばつ、記録的高温ではイタリアの48.2℃、モロッコの50.4℃などが示された。
対策として進む再生可能エネルギーの容量は前年から大幅に増加し、伸び率が過去20年で最高になったとする一方で、パリ協定目標達成のための資金は不十分と指摘。気候変動の影響で受ける損害額は対策コストよりも大きいとしている。
電気に関する総合サービスを提供する日本テクノの広報室です。エコな情報発信中。