中小企業のSDGs

企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第20回】国際認証を先んじて取得 サステナブルな森林事業

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は木材加工業のSDGsに関する取り組みを紹介する。


 雄大な桜島を望む鹿児島県霧島市の上野原テクノパーク内にある株式会社さつまファインウッド。2013年に九州全域で木材事業全般を手掛ける株式会社伊万里木材市場のグループ会社として設立された。鹿児島県産を中心とした国産杉を枠組壁工法構造用製材(2×4ツーバイフォー材)に加工し供給している。山林資源を取り扱う以上は企業としての責任があるとの認識から主に環境分野での取り組みを進め2024年に「鹿児島県SDGs登録事業者」になった。
 環境配慮の生産体制は会社設立当初から。原材料は仕入れた段階では70〜80%の含水率だが加工して出荷する際にはJAS規格で定める19%まで下げる。通常、乾燥の工程には熱を加えるが、そのためのボイラー燃料に木材加工で出るプレーナー(木くず)を使う設備を導入した。一般的な重油を使用した場合に比べ二酸化炭素(CO2)の排出を大幅に削減できる。これにより県から毎年CO2削減認証書の発行を受けている。
 さらにその人工乾燥期間の短縮も進めた。事業開始当初は1週間ほど窯に入れ熱を加え続けていたが、現在その日数は2.5〜3日に減少している。窯入れの前に、長い間自然乾燥させるからだ。期間は4〜6ヵ月ほど。時間はかかるが、これで木材の含水率を適切に減らしムラもなくせる。曲がりや反りのある不良材も減り、歩留まりも改善した。窯の起動にかかる使用電力量や燃料使用によるCO2排出量の削減も実現できた。

野村俊郎さん(左)と宮原義文さん。背後に積み上げられた木材は窯入れする期間を短くするため数カ月自然乾燥させている。

 「この乾燥技術は2024年度のウッドデザイン賞、2025年度の木材利用推進コンクール・国産材利用推進部門の林野庁長官賞など数々の表彰を受けています」(総務課安全衛生担当課長の野村俊郎さん)
 森林資源の保護・循環にも力を入れる。そこで取り組んでいるのが国際的な認証の取得だ。現在進めているのは、持続可能な森林経営を国際的に評価する「SGEC認証」と、製品のライフサイクル全体における環境負荷を国際規格に準拠して定量的に評価する「EPD認証」の2つである。
 SGEC認証は、きちんと環境保全された森林由来の木材が、加工や流通の段階で非認証の木材と混同しないよう管理することがポイント。この認証を受けることにより、適切な管理と環境配慮がなされた製品を取り扱っている証明となり、製品の付加価値が高められる。
 もう1つのEPD認証では、原料調達から加工・製造、使用、廃棄に至るまでの環境影響が問われる。独立した第三者機関が定量的な評価をし、それが開示されるため信憑性の高い認証制度とされている。どちらも書類審査や現地視察を経て今年度中に取得できる見込みだ。
 総務課DX推進担当課長の宮原義文さんは「現段階ではこれらの認証取得を取引の必須条件にするお客様は少ないのですが、遠くない未来、状況は変わると予想しています。先々を見据え、必要になってから取得に動くのではなく、長期的な戦略のもと現段階で行動しようと判断しました」と話す。

品質や環境の分野で受けた多数の賞状。

 設立時に目指したものの1つに、地元鹿児島県産の木材を有効活用し地場産業を振興させるという旗印があった。その意志は忘れることなく持ち続け、地域貢献は環境配慮とともにしっかり取り組めていると認識する。そのうえで、今後の課題と考えるのは若手の育成だ。入職者を増やすためインターンシップの受け入れや周辺の高校へ企業説明に回るなど積極的な活動を進めている。
 2×4工法で建てた住宅は頑丈なのが特長。2016年の熊本地震でも全壊した住宅はないという実績がある。野村さんは「生命と財産を守れる住宅づくりに携われるのは社会貢献性が高く、意義もやりがいも大きい。この魅力を伝え、地元の若い人たちと一緒に会社を成長させていくつもりです」と自社の未来について希望を語った。

こぼれ話

設立当時から環境配慮を念頭に設備設計をされていたことや、積極的に認証取得に動かれていることを伺い、取り扱う木材のようにその企業姿勢に温かみを感じることができました。事務所内はもちろん、工場内も木のぬくもりがそこここに。対応してくださった野村さん、宮原さんのお人柄もあたたかく、始終ほっこりと穏やかな気持ちになれる取材でした。これが…木の力!?

木材がふんだんに使用された工場の建屋内

広大な敷地内にずらっと並んだ木材のコンテナは建物のよう!圧巻です。地元の学校からの職業見学も受け入れているのだそう。2~3階建てくらいの高さがある木材の間を歩くのはちょっとした冒険みたいな気分を味わえて、立派な大人である筆者も子ども心をくすぐられてしまったので、少年少女たちもきっとワクワクしながら見学するのでしょう。ここで4ヵ月から半年かけて自然乾燥してから仕上げにボイラーを使用することで、CO2排出量を大幅に削減しています。雨の日はカバーでもかけるのかな?と思いましたが、雨ざらしのままでも問題ないそうです。

風通しを考えて積み上げられた木材

さつまファインウッドさんは桜島が見渡せる高台の工業団地の中にあり、道中では風景を堪能できました!

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