環境トピックス

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CO2地下貯留 初の試掘許可

北海道苫小牧市沖 地層分析で実施見極め

火力発電所や製鉄所、工場などで排出される二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留するCCS事業を推進している経済産業省は2025年9月、石油資源開発株式会社(JAPEX)に対し北海道苫小牧市沖の特定区域における試掘を許可した。事業を安全・適正に運営していくためのCCS事業法に基づく初めてのケースとなった。

試掘の目的は、この区域の地下でCO2貯留に適した地層の存在を確認すること。区域内の一部ではすでに経産省などによる実証実験が行われており、貯留層とそれを覆ってふたの役目を果たす遮蔽層があることはわかっている。今回の試掘では層の広がりがどの程度なのかを調べ、貯留能力を正確に見極める。
天候に左右される再生可能エネルギーの調整力として重要な火力発電所、製鉄所、化学・セメント・製紙工場などでは、既存の省エネ技術を駆使してもCO2の排出削減が難しい場面が多くある。そうした分野でもCCSを活用すれば排出抑制につなげられる。そのため世界各国で技術導入が進められている。
日本では2023年3月に「CCS長期ロードマップ」が策定され、2030年までに年間600万〜1200万トンを貯留する目標が掲げられた。2024年5月には事業運営のルールを定めた「CCS事業法」が成立し、貯留層の存在が見込める場所を「特定区域」として指定することや事業の許可、届出など規制の制度が設けられた。
2024年11月に試掘に関する規定が施行され、翌年2月に北海道苫小牧市沖の一部を特定区域に指定したうえで試掘の許可申請を受け付け、審査や地元との協議など必要な手続きを経て今回の試掘許可に至った。
苫小牧市沖では2本の井戸を試掘する。傾斜をつけて海底を掘り進め、平均海面から約1540メートルの深さまで達する計画で、これにより評価に必要な地質データを取得する。作業は2025年11月にスタートし、2027年1月の完了を予定している。

2024.5
貯留事業の許可制度を盛り込んだCCS事業法が成立
2024.11
試掘に関する規定の施行
2025.2
試掘実施の特定区域に北海道苫小牧市沖を指定
2025.6
利害関係者からの意見募集
2025.9
北海道知事との協議や意見募集の集約から支障なしと判断し試掘を許可
2025.11
試掘スタート。完了予定は2027年1月

※本記事は環境市場新聞83号(2面)記事を掲載しています。

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