環境省がごみ減量の目標値を見直し
この記事のポイント
2023年度のごみ排出量の具体的目標が決定
新たな指標として「1人1日当たりごみ焼却量」を追加
廃棄物の循環利用方針が色濃く示されたた
廃棄物処理基本方針を改定
環境省は2025年2月、前年に決まった第5次循環型社会形成推進基本計画に合わせる形で廃棄物処理法に基づく基本方針を改定しました。
前回の見直しは2023年で、この時は2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素化への状況を踏まえた変更がなされましたが、今回は先の第5次循環計画に合わせて具体的な目標値が決められました。
2030年度目標の排出量は、一般廃棄物を2022年度比で約9%削減し、産業廃棄物では同約1%増加に抑える、というものでした。2022年度に496グラムだった1人1日当たりの家庭系ごみ排出量は、約478グラムの低減が目標となっています。
【表】廃棄物処理基本方針の示す目標
| 指標 | 2022年度 (実績) | 2030年度目標 |
|---|---|---|
| 一般廃棄物の排出量 | 4000万トン | 約9%削減*(約3700万トン) |
| 1人1日当たりの家庭系ごみ排出量 | 496グラム | 約478グラム |
| 一般廃棄物の出口側循環利用率 | 約20% | 約26% |
| 1人1日当たりごみ焼却量 | 679グラム | 約580グラム |
| 一般廃棄物の最終処分量 | 340万トン | 約5%削減*(約320万トン) |
| 産業廃棄物の排出量 | 3億7000万トン | 約1%増加*に抑制 (3億7400万トン) |
| 産業廃棄物の出口側循環利用率 | 約37% | 約37% |
| 産業廃棄物の最終処分量 | 870万トン | 約10%削減*(約780万トン) |
また今回の改定では、新たな指標も追加されました。それが「1人1日当たりごみ焼却量」で、この数値の減少には、ごみ発生抑制に加え、焼却処理から循環利用に転換する方針が表れるものと見られます。実績値の679グラムから2030年度には約580グラムまで下げることが方針として示されています。
さらに目標達成のための施策として、国民の発生抑制に向けた行動、事業者における製品や容器が捨てられるときの分別排出や循環利用の円滑化、自治体のリサイクル推進、政府による制度整備や普及啓発などが挙げられています。
廃棄物処理法
正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」。この法律は、廃棄物の排出を抑制すること、また廃棄物の適正な分別・保管・収集・運搬・再生・処分などを行うこと、さらに生活環境を清潔保つことにより、「生活環境の保全」と「公衆衛生の向上」を図ることを目的として1970年(昭和45年)に公布されました。直近では2017年(平成29年)に「改正廃棄物処理法」が成立し、廃棄物の不適正処理への対応の強化などが図られています。
循環型社会
「大量生産」「大量消費」「大量廃棄」の社会に代わるものとして提示された概念です。2000年(平成12年)に公布された「循環型社会形成推進基本法」では、「循環型社会」とは、まずは製品などが廃棄物として処分されることを抑制し、それでも排出されてしまった廃棄物については、できるだけ資源として適正に利用すること。そして最後にどうしても利用できないものについては適正に処分することで「天然資源の消費が抑制され、環境への負荷ができる限り低減された社会」(循環型社会)が形成されるもの、としています。
※本記事は環境市場新聞81号(1面)記事を編集して掲載しています。























































