• エコな営みいまむかし
  • 循環型社会を実現していた江戸時代。江戸庶民のエコな暮らしをのぞきながら現代社会と比較します。

江戸の人々は米をよく食べた


10月になり新米の多く出回る時期となった。もちもちとした食感や香り、風味の際立つ新米。この時期の米はおかずがなくてもいくらでも食べられるという人もいるだろう。江戸の人々も米をよく食べたといわれる。今回は日本人の食文化と切っても切り離せない米と江戸の人々について紹介する。

江戸

 日本の中心である江戸には年貢米をはじめ日本各地から大量の米が集められ、精米用の水車小屋も多く存在した。そのため江戸の街では庶民でも米、それも精米した白米が食べられた。
 1日2食から3食の食生活になったのも江戸時代。朝に1日分の米をかまどで一気に炊き、朝は炊きたての温かいご飯、昼は冷ご飯、夜はお茶漬けにしてすべて食べきっていた。食事の内容は汁物と漬物などの一汁一菜とシンプルだが、驚くのは米の消費量。成人男性ともなると1日5合の米をわずかな野菜や魚の干物とともに食していた。
 こういった極端に白米に偏った食生活は、脚気(かっけ) と呼ばれるビタミン欠乏症を引き起こし、多くの江戸の人々を苦しめた。米は精米する過程でビタミンB1を失う。白米中心の江戸ではその不足により倦怠感や足の痺れ、末梢神経障害を引き起こした。江戸を離れ玄米や麦を口にするようになると治まることから「江戸わずらい」とも呼ばれた。


令和

 現代では食も多様化し、1日に食べる米の量はお茶碗2杯程度という。また江戸時代とは違いほとんどの家庭は炊飯器を使って米を炊く。多くはそこに保温機能がついているので時間がたっても温かいご飯を食べることができる。
 ただ、不必要に保温を続けるのはご飯を劣化させる原因にもなる。夏場は注意が必要だが、今の涼しい時季なら常温でも半日程度なら傷まないだろう。そうして江戸の人々のように1日で食べきるやり方を真似てみるのもいい。この時期に出回る新米は冷めても柔らかく、冷ますことでもちもちとした歯ごたえが一層強くなる。炊き込みご飯やお
にぎり、お茶漬けといった冷めてもおいしい食べ方を取り入れるなどすれば食欲の秋は江戸風に彩れる。



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