江戸の物流、要は船の荷運び
社会を支える基盤事業である物流。身近なものでは郵便や宅配便も含まれる。今回は、現在のような交通機関が存在しなかった江戸時代の物流を見ていく。
江 戸
江戸時代の人々の暮らしは地産地消を基本としていたが、物資の行き来がなかったわけではない。地方から江戸へ運ばれるものが多く、年貢米をはじめさまざまな食料品やその他物資が輸送されていた。
飛行機や貨物列車、トラックなどの交通機関がない時代。物流システムの要は海上や河川を移動する船だった。古くから、船は荷運びに使用されていたが、江戸時代に入って大規模な河川の整備も進んだ。干満や風を利用することで川下から川上へ荷物を運ぶこともでき、当時すでに自然と人の力を利用して江戸と周辺地域を結ぶサプライチェーンが構築されていた。遠方輸送の例では紀州の有田地方(和歌山県)から1シーズンにミカン数十万籠が船で運ばれ、大都市江戸で消費されたという。そのほかにも陸路では飛脚や馬が書状や金品、水に弱い生糸などを運んでいた。
さらに江戸時代以降、明治、大正から現代に至るにつれて、人の流れも一層活発になり、物品の流通も盛んになっていった。
令 和
現代における物流は、通販サービスやスーパーへの生活物資の輸送をはじめ、商品の原料調達や使用後の資源類の回収など多様化している。輸送方法は、飛行機での空輸に加えコールドチェーン(生鮮食品を低温のまま輸送する仕組み)も確立されているため、国内外問わずさまざまな地域のあらゆる物品が流通する。技術の進歩や社会の変化に合わせ、人の営みも物流も変化してきたのだ。
特に近年の通販サービス需要の伸びは著しく、2020年度の宅配便取扱個数は48億を超えた。国民1人当たり約38個の荷物を受け取っている計算になる。
船や馬や人力による江戸の輸送にほとんど環境負荷はない。令和の様子を江戸庶民に伝えるすべがあったら、環境への配慮をしながら物流ネットワークを利用しているとの弁明を加えられるようにしなければ。
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