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チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る

大切なのは自然の成り立ちを求める姿勢

 雪の粒はふわふわと地面に落ち、すき間の空気を気泡として含みながら積もっていく。南極にある氷床は、その営みを何万年、何十万年と繰り返し、数キロメートルの厚さに達したものだ。だからその深い部分にある氷床の一部を掘り出し、閉じ込められた気泡を分析すれば、太古の大気組成もわかり、気候システムの解明に役立てられる。
とはいえよく考えてほしい。答えを導くには、極寒の地での掘削作業、わずかな量の気泡の分析、氷床に吸収される大気成分の推計など、いくつもの難題を乗り越える必要がある。気泡の年代を特定するのも容易ではない。
大気をはじめとする自然環境の成り立ちを探り、仕組みを理解するのは温暖化対策の第一歩ともいえる。だが、その道筋は前途遼遠なのだ。それでも、砂を1粒ずつ選り分けるように、科学者たちは成果を積み上げてきた。本書は、彼らの挑戦のドラマと、得られた知見、そして温暖化する地球の現状を、客観的な視点から教えてくれる。成果を得ることの困難さ、大切さ、そして楽しさを味わえる。
なお、南極氷床の分析結果は本書で紹介されており、2万年前の大気のCO2濃度は200ppm程度だという。それが産業革命前に280ppm、現在は400ppmを超えている。

岩波現代文庫 1240円+税
大河内直彦 著
1966年京都市生まれ。
独立行政法人海洋研究開発機構生物地球化学研究分野・分野長。専門は生物地球化学。クロロフィルやアミノ酸など各種有機化合物を用いた、過去および現在の地球環境の解明法の開発とその応用。生物プロセスを重視した立場から、地球環境を理解する新しい研究分野の開拓に情熱を傾けている。著書には『「地球のからくり」に挑む』(新潮新書)、『地球システム科学』(岩波書店、共著)がある。

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