「グリーンフライデー」に考えよう、地球と人にやさしい消費活動
11月は秋の深まりを感じる季節ですね。スポーツや旅行を楽しむのに最適な時期ですが、出費が増える年末年始に向けて少しずつ準備をしておきたいタイミングでもあります。そこで皆さんは「グリーンフライデー」という言葉をご存知でしょうか。グリーンフライデーに対比する言葉として、よく耳にするのが「ブラックフライデー」。ブラックフライデーはアメリカ発祥の大規模なセールイベントで、毎年感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日に開催されています。徐々に日本にも定着してきましたが、世界中に広まるこのセールイベントは過剰な消費を生んでしまうという一面もあります。近年、こうした風潮に立ち止まり、持続可能な消費のかたちを提案する「グリーンフライデー」という運動が注目されつつあります。
ブラックフライデーの問題点
1960年代にアメリカで生まれたブラックフライデーは、セールに人が集まり店頭が混雑し、業績が「黒字」になることからこの名前がつけられたといわれています。特にアメリカの小売業界では1年でもっとも売上を見込める日とされ、多くの小売業者が大幅な値引きや特別なプロモーションを行い、消費者がクリスマスシーズンの買い物を始めるきっかけとなっています。それにくわえ、ブラックフライデーのネット通販版「サイバーマンデー」などもあいまってその消費は加速しています。日本でブラックフライデーが開催されるようになったのは2016年頃から。通販サイト、スーパーマーケットなど多くの企業でセールを実施する店舗やオンラインショップが増えてきています。年末のセールイベントとして楽しく買い物ができる一方で、ブラックフライデーは、大量生産、大量安売り、大量輸送、過剰包装による資源の大量消費や輸送にともなうCO2の大量排出などを問題視する声も上がっています。
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持続可能な消費モデル「グリーンフライデー」とは?
消費型経済の代表的なイベントであるブラックフライデーに対し、消費のかたちについて今一度立ち止まって考えようという思いから、モノを大切に使うなど、持続可能な消費を促すのが「グリーンフライデー」です。環境への配慮やサステナビリティという考え方が注目されるようになってから、環境意識の高い欧州を中心に盛り上がりをみせています。地球や人に優しい消費活動をしながら循環型社会の共生をめざしていることから、グリーンフライデーの考え方は持続可能な生産・消費を構築することを目的とするSDGsの目標12「つくる責任つかう責任」への貢献にもつながるという期待も寄せられています。
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世界のグリーンフライデー運動
具体的な事例としては、過剰消費を問題視するブランドがあえて実験的に店舗を閉めてセールを行わない、売り上げの一部を環境保護団体に寄付する、リサイクルを促すワークショップ・イベントを開催するなど、さまざまな取り組みがされています。とあるインテリア企業では、必要のなくなった自社製の家具の買い取りを行い、不要になった家具に第二の人生を与えることで、循環型経済への貢献をめざしています。大手フリマアプリはリユースを活用したファッションショーを開催し、サステナブルなファッションの楽しみ方の提案を行いました。このプロジェクトには環境改善活動に力を入れている企業も多く参加し、大手アウトドアメーカーは、約2年でサイズアウトしてしまうキッズウエアを買い取り、クリーニング・リペア・リメイク・アップサイクルを施した製品を再販する新ブランドを立ち上げました。ほかにも、ファッションレンタルのサブスクリプション事業を手掛ける企業ではグリーンフライデーにあわせて「循環」をテーマにしたイベントを開催。レンタルが終了した洋服の販売を通して、サステナブルな消費体験を提供しました。このように近年、グリーンフライデーに関連させた活動が徐々に広がりをみせています。
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新しい消費のかたちをめざして
ここまで形の違う消費モデルであるブラックフライデーとグリーンフライデーについてご紹介しましたが、ブラックフライデーはいくつかの問題点をもつ一方で生産者や量販店や小売業、そして消費者にとっても、経済市場において重要なイベント。セールの内容も単にたくさんの物を安売りするだけでなく、キャンペーンを実施したり、付加価値のあるセット商品にすることでお得感を演出したりする方法も取り入れられています。年に1度の大規模セールはワクワクしながら買い物ができる楽しいイベントであることに間違いはありません。経済に活力を与えてくれる存在ともいえるでしょう。
グリーンフライデーの取り組みや考え方は、一見するとブラックフライデーと相反するものに見えますが、現実的に考えればこの2つの消費モデルが両立するのが理想といえます。セールで楽しく買い物をしながら、買い取りや中古品も活用していくと、持続可能な消費活動ができるようになるのではないでしょうか。買い物の際に注意すべきことは、セールだからといって後先考えずに衝動買いに走らないことです。あらかじめ買うものをメモしておく、予算を決めておくことも大切です。ほかにも中古品やリサイクルショップ、古着屋を利用したり、1日だけ「買わない日」を実践するなど、個人的にできる数々の小さなアクションがあります。この機会に消費のあり方について考えてみてはいかがでしょうか。
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