SDGsが採択されてから8年。毎年9月末には、国連総会の会期に合わせて「SDGs週間」が設けられ、SDGs啓発のためのイベントなどが開催されています。
SDGs週間を機に、あらためてSDGsの概要と、日本の達成状況などをまとめました。
【目次】
・SDGsとは
・17の目標と169のターゲット
・日本のSDGs達成状況は？
・企業がSDGsに取り組む理由
・中小企業が取り組むSDGs
SDGsとは
SDGsとは Sustainable Development Goalsの略で、日本語では「持続可能な開発目標」と呼ばれています。2015年9月25日の国連サミットで採択されたもので、持続可能な社会を実現するため、2016年から2030年までの期間に達成すべき目標が掲げられました。国連加盟の193ヵ国が共通してめざす17の目標と、169のターゲット（具体的な目標）で構成されています。
世界には環境、文化、経済力の面からみてもさまざまな国が存在していますが、そうした多様性を加味したうえで、地球上の誰一人として取り残さずに、よりよい未来をめざしていこう、というものです。
そもそも、SDGsのもとになったのが、2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで採択され、翌2001年に策定された「ミレニアム開発目標（MDGs）」です。極度の貧困や飢餓の撲滅など、主に途上国が抱える課題の解決を目的にしており、2015年までに達成すべき8の目標と21のターゲットが掲げられました。
MDGsは期限となった2015年までに一定の成果をあげましたが、一方で達成に至らなかった目標もあり、その後継となるのがSDGsです。
17の目標と169のターゲット
実際に17の目標にはどんなものがあるのでしょうか。MDGsで掲げられた貧困や飢餓の撲滅をはじめ、働きがいや経済成長、気候変動に至るまで、途上国だけでなく世界の各国が抱える課題が包括的に挙げられています。
| 【SDGsの17の目標】 目標1 貧困をなくそう 目標2 飢餓をゼロに 目標3 すべての人に健康と福祉を 目標4 質の高い教育をみんなに 目標5 ジェンダー平等を実現しよう 目標6 安全なトイレと水を世界中に 目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 目標8 働きがいも経済成長も 目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう 目標10 人や国の不平等をなくそう 目標11 住み続けられるまちづくりを 目標12 つくる責任つかう責任 目標13 気候変動に具体的な対策を 目標14 海の豊かさを守ろう 目標15 陸の豊かさを守ろう 目標16 平和と公正をすべての人に 目標17 パートナーシップで目標を達成しよう |
そして、17の目標をより具体的にしたのが「169のターゲット」です。
「目標13：気候変動に具体的な対策を」を例に上げて、目標とターゲットのつながりを見てみましょう。
| ■ 目標13：気候変動に具体的な対策を 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る ■ターゲット（具体的目標） 13.1 すべての国で、気候関連の災害や自然災害に対する強靱性と適応能力を強化する。 13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込む。 13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減および早期警戒に関する教育、啓発、人的能力および制度機能を改善する。 ■ターゲット（目標達成のための行動・手段） 13.a 重要な緩和行動を実施する。またその際には透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施するとともに、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。 13.b 後発開発途上国および小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方および社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力向上メカニズムを推進する。 |
上記のように、目標に対して、それらを達成するために必要な具体的目標と、その行動・手段が示されています。
「13.1」のように数字で示されたものが「目標13」をより具体的にしたもの。「気候変動の対策」として誰が何をするか、が明示されています。そして「13.a」のように数字とアルファベットで示されたものが、目標達成のために取るべき行動や手段です。
「目標13」には5つのターゲットが設定されていますが、全体でみると17の目標に対して169のターゲットがある、というわけです。
日本のSDGs達成状況は？
上記の目標に対して、日本ではどの程度まで達成できているのでしょうか。
国連の研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク（SDSN）」が2023年6月に出したレポートによると、日本のSDGs達成度ランキングは世界で21位。前年が19位、その前年が18位だったので、徐々に低下傾向にあります。
また日本の達成状況を「達成済み」「課題が残る」「重要な課題がある」「深刻な課題がある」の4段階で評価すると、「達成済み」の目標が2項目。残りの3段階に5項目ずつの目標がある、という結果です。
注目すべき点は、前年（2022年）に「達成済み」となっていた「目標16：平和と公正をすべての人に」が「課題が残る」へと移り評価が下がりました。一方で「深刻な課題がある」と評価されていた「目標17：パートナーシップで目標を達成しよう」は「重要な課題がある」へと移り、目標達成に一歩近づいたことになります。「目標5：ジェンダー平等を実現しよう」や「目標13：気候変動に具体的な対策を」は依然として「重要な課題がある」という位置づけです。
| 日本のSDGs目標達成状況 【達成済み】 目標4 質の高い教育をみんなに 目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう 【課題が残る】 目標1 貧困をなくそう 目標3 すべての人に健康と福祉を 目標6 安全なトイレと水を世界中に 目標11 住み続けられるまちづくりを 目標16 平和と公正をすべての人に 【重要な課題がある】 目標2 飢餓をゼロに 目標7 エネルギーをみんなに、そしてクリーンに 目標8 働きがいも経済成長も 目標10 人や国の不平等をなくそう 目標17 パートナーシップで目標を達成しよう 【深刻な課題がある】 目標5 ジェンダー平等を実現しよう 目標12 つくる責任つかう責任 目標13 気候変動に具体的な対策を 目標14 海の豊かさを守ろう 目標15 陸の豊かさを守ろう |
中小企業がSDGsに取り組む理由
SDGsでは、目標達成に向けて①経済、②社会、③環境の3つの要素が調和しながら進んでいくことが大切といわれています。つまり、環境を守りながら、一人ひとりの人権も尊重したうえで経済活動を行っていく、ということです。
こうしたなかで、「目標8：働きがいも経済成長も」や「目標9：産業と技術革新の基盤をつくろう」など「経済」に関連する目標を達成するためには、企業による取り組みが不可欠であり、それは企業の社会的責任との認識が広がっています。
現状で、大企業では経営目標にSDGsを組み入れるケースも増えていますが、中小規模の企業では、事業活動とSDGsの取り組みが結びつかないと考える企業も少なくありません。
しかし、どんな企業でも業務内容を細かく見ていけば、事業そのものや、業務改善を図っていくなかでの活動にSDGsの要件が含まれる業種は多いのです。
中小企業が取り組むSDGs事例
最後に、企業が実際に取り組むSDGsの具体的事例をいくつかご紹介します。
（本事例は環境市場新聞「連載：中小企業のSDGs」で紹介した記事の概要です）
＜食品製造業の事例＞
野菜をカット加工して、外食チェーンや小売業者などに卸す企業では、これまで規格外のため捨てられていた野菜とでんぷんを原料にした食品容器を製造しています。微生物の働きにより生分解可能な製品のため、ゴミの削減にもつながっています。
■関連する目標：12
■記事の詳細はこちら（https://econews.jp/report/corporate_sdgs/6377/）
＜宿泊業の事例＞
千葉県にあるホテルでは、自然体験プランを通じて、宿泊客の環境への理解促進を図っています。また林道の整備で発生した間伐材を燃料に使った焚き火体験など、地域の資源を活用した各種宿泊プランが人気を呼んでいます。
■関連する目標：3，4，15，17
■記事の詳細はこちら（https://econews.jp/report/corporate_sdgs/8912/）
以上、2030年の期限まで折り返しを過ぎましたが、達成状況からもわかるように最終的な目標達成に向けては、まだまだ継続的な取り組みが必要といえます。SDGs週間を機に、行動の振り返りや計画の再考なども含めて、あらためて考えてみませんか。
【参考資料】
SDGsとは【外務省：JAPAN SDGs Action Platform】
持続可能な開発ソリューション・ネットワーク（SDSN）
電気に関する総合サービスを提供する日本テクノの広報室です。エコな情報発信中。
