まだ楽しめる元気な花を廃棄⁉「ロスフラワー」を救おう
花は成人式、結婚式、母の日、お葬式など大切な行事や記念日、ちょっとしたプレゼントなどいろいろな機会に華やかさを与えてくれますね。しかしながらこの数年、新型コロナウイルス感染症の影響であらゆるイベントが中止や縮小されたのを機に誰の目にも触れられずに花が大量廃棄されてしまう「ロスフラワー」が問題視されるようになりました。
SDGs目標としても急がれる対策
SDGsでよく耳にする「フードロス(食品ロス)」を花に置き換えたのがロスフラワーです。まだ綺麗に咲いている花の大量廃棄はコロナ禍に限らず花き業界に根深くある問題です。一説には仕入れた花の30〜40%が廃棄され、経済損失は実に年間1500億円に上るともいわれています。
また、花の生産者や生花店では、花を生産・管理するために多くの水と電力を使用しています。花をそのまま捨ててしまうことは、水と電力をムダにしているのと同じ。世界的に見れば、日本のようにキレイで安全な水に恵まれた国は多くありません。ロスフラワー対策はSDGs目標12「つくる責任、つかう責任」の一環として花き業界と消費者が考えるべき問題です。さらに、花を出荷・輸送するには、船や飛行機、車などで莫大なエネルギーを使っています。CO2排出量が増えることで、地球温暖化の原因にもなるのです。これはSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」にもつながります。
SDGsに関するコラムはこちら。
【第107回】 最近よく目にする SDGsとは?
https://eco-tatsujin.jp/column/vol107_r.html
(省エネの達人『企業編』掲載 省エネコラム)
【第125回】ご存知ですか?フードバンク活動
https://eco-tatsujin.jp/column/vol125_r.html
(省エネの達人『企業編』掲載 省エネコラム)
ロスフラワーが増えてしまう3つの原因
1.規格外となる規定が厳しいため廃棄されてしまうこと。
ちょっとした傷や、曲がっているなど農園や市場の規格を満たしていない花が出荷できず廃棄されてしまう。
2.花き業界では「プロダクトアウト型」が主流である。
プロダクトアウトとは、消費者のニーズに合わせるのではなく、つくり手がいいと思うものをつくることを優先する手法。生産者が花を市場にもち込み、それを生花店が選んで買うため、需要のない花は売れ残ってしまいます。花は「なまもの」であるため、売れ残ったものは廃棄するしかありません。
3.販売までの過程が廃棄の出やすい仕組みである。
そもそも花は生産されてからいったん市場に運ばれ、生花店に届くという流通経路のため、途中で傷んだ花は廃棄することになります。また、花の取引は箱単位のことが多く、生花店は過剰入荷せざるを得ません。そのため一定数の花は売れ残り、鮮度が過ぎて廃棄の対象となります。これらの業界の仕組み自体がロスフラワーを生んでしまうのです。
ロスフラワー削減の取り組み
ここでロスフラワー削減のための取り組みを2つご紹介します。
- 花のサブスクリプションサービス
最近では一般的となった花のサブスクリプションのなかにも、特に規格外の花を対象としているものがあります。それは手渡しや自宅のポストに品質のよいさまざまな花が届く購入スタイル。低価格なのも魅力です。販売者は積極的に規格外の花を買い取っているのでロスフラワー削減につながり、利用者が増えれば計画的に花の栽培ができるので生産者支援にもなります。店舗販売と異なり、事前に販売数がわかることも効率的な花の販売につながります。
- 「フラワーサイクリスト」という職業
最近では「フラワーサイクリスト」(アップサイクルと花をかけた造語)という職業も注目されています。生花店の売れ残りやイベント装飾で出たロスフラワーを買い取り、ドライフラワーにした後、リース、アクセサリー、装飾品などにつくり替えるのです。それは花の命を蘇らせ、新しい作品へと命をつなぐこと。現在いろいろなイベントでロスフラワーを使用した作品が販売されています。
アップサイクルについてはこちら。
【第210回】今、話題です!「アップサイクル」をご存じですか?
https://eco-tatsujin.jp/column/vol210_r.html
(省エネの達人『企業編』掲載 省エネコラム)
ロスフラワー削減のためにわたしたちができること
身近な例としては、花を飾ったり贈ったり、ドライフラワーやフラワーアレンジメントに挑戦するなど楽しみながらロスフラワー削減に取り組むことができます。また、花にはストレス軽減やモチベーションアップの力もあるといわれています。忙しい毎日に彩りを与えてくれる花を大切にしたいですね。
食材をムダにしないコツはこちら。
旬の食材をムダなく食べよう (サステナブルノート 2022年11月7日)
https://econews.jp/column/sustainable/7659/
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