こだわりの商品開発が再エネ導入拡大への貢献に
日本テクノが実施しているDR(デマンドレスポンス)プロジェクトは、供給側の発電状況に応じて、需要側に電力使用の調整を依頼するものだ。供給量が不足するとき節電などで需要を減らしてもらう「下げDR」と、供給過多が懸念される場合に電力の積極使用でそれを増やす「上げDR」を呼びかけている。
上げ下げDRは、出力変動の大きい再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大に貢献できる。だが、そこに欠かせないのが、変動に合わせた細かな対応だ。時間帯ごと、さらにいえば電力供給の単位になっている30分間(1日48コマ)ごとに、電気が「見える化」されていなければ適切な行動をとるのは難しいだろう。
当社は時代の流れやお客様ニーズの変化に応えつつ電力使用状況を詳細に可視化するサービスを構築してきた。そのツールの存在がDRプロジェクトの前提になっている。
高圧需要家に「見える化」の提供を始めたのは2002年10月。4月にその基本料金がデマンド制に移行された直
後のタイミングだ。「ES SYSTEM DNA」の販売開始である。それまでの保安点検業務にデマンド監視を加えた。パトランプで警報を出し、それに応じて「人」が不要な電気を消すものだ。
これを大きく進化させたのが2008年1月発売の「SMARTMETER ERIA(以下、ERIA)」である。パトランプの警報に対応するのが難しいという意見を踏まえ、モニター画面に顔の表情と色の変化を表示させた。警報まで5段階にして現状を見える化。表示変化を意識しながら省エネ行動ができるようになった。一目でわかる表示なので、専門知識のない従業員やアルバイトでも反応でき、自然に行動が起こせる。飲食店ではスタッフ動線上の壁などにERIAを設置し、色が変わるとアルバイトがインカムで全員に伝え、工場では事務所に設置し、事務員が現場へスピーカーで通知するといった具合に省エネ活動の意識が広がっていった。
もっと多くの人が目にする機会を増やそうと「SMART CLOCK」を投入したのは2011年5月。1日に何度も見る時計に、現在の電気の使用状況を表示させた。電気使用はここまでに抑えるという目標設定値に対して順調に推移していれば緑、要注意なら黄色、使い過ぎは赤と信号機の配色にした。
その後、時間帯で使用状況の変化が大きい事業場では、複数の目標設定値が必要になると考え1日48コマの30分単位ごとに変更できるようにした。電気を多く使うときに合わせた設定のまま使用量の少ない時間帯を過ごすと、目標値まで余裕があり、無駄に使う可能性が増える。普段の使用状況に合わせ細かく設定を変えれば、より適切な省エネ行動がとれる。
電力使用状況を詳細に可視化できるツールはこうして生まれてきた。このように時代の流れやお客様の変化を見逃さず「見える化」にこだわり商品開発を進めてきたことが、再エネの導入拡大に役立つプロジェクトの推進につながっていると考える。
電気に関する総合サービスを提供する日本テクノの広報室です。エコな情報発信中。