増強7兆円規模でも上回る便益
広域機関 送電網整備プラン策定
電力広域的運営推進機関(広域機関)は2023年3月、2050年までの送電網増強に関する長期方針(広域連系系統のマスタープラン)を策定した。7兆円規模の投資でもそれを上回る便益が確保できる可能性などを示した。
政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現には太陽光や風力など再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大が不可欠だが、その電力を届けるための送電網の容量不足が指摘されている。広域機関はそうした現状を踏まえた電力ネットワークの長期展望と具体化に向けた取り組みの方法を示した。
今後導入される再エネ設備の立地条件などによって3つのシナリオを想定しそれぞれに適した増強整備の姿をく。ベースシナリオでは、日本海側で北海道-東北-東京を結ぶルート、太平洋側で北海道ー東北、東北ー東京を結ぶルートの新設を想定。費用は2.5兆〜3.4兆円と見積もる。
日本は東と西で電力の周波数が異なり、その間の送電には変換設備(FC)が必要になる。現行でも300万kWの増強計画があるが、さらに270万kWの追加増強を提案する。費用は4000億円規模。西日本でも九州-中国ルートで4000億円規模の280万kW増強を見込む。
これらベースシナリオの投資額は合計で6兆〜7兆円。年間コストは5500億〜6400億円と試算する。それに対し、火力発電から再エネに置き換わる燃料費削減などの効果から年4200億〜7300億円の便益が見込まれ、投資を上回る可能性があるとした。
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