【概観・電気事業法】第2回/条文の構成

 「電気事業を統括する根幹の法律」の見出しで前号から連載を開始した電気事業法の解説。第2回は、附則を除き129条からなる条文全体の構成を見ていく。
 記事作成に当たって参照したのは、政府のサイト「e-Gov法令検索」で施行日を2023年4月1日に設定した電気事業法の条文。法律は時代の変化に伴い随時改正されていくため、連載を進めるごとに適時の条文を引きながら解説していく。
※本記事は環境市場新聞第72号(2023年4月発刊)に掲載されたものです。


本則全129条の骨格を示す章立て

 電気事業法の本則は、目的などを記した1章から罰則規定の9章までで構成される。加えて日本の一般的なほかの法律と同様に、法令の施行日、経過措置などを示す附則もある。次回以降、各章に含まれる条文などに触れつつ詳細を見ていくが、今回はそれぞれの章の概要を簡単に紹介し法律全体の骨格を俯瞰する。

 
 1章は総則。法の目的を記した1条と「小売電気事業」「一般送配電事業」など用語の定義を示す2条からなる。
 2章は電気事業。この法律の中で最も多くの内容を含む章で「小売電気事業」「一般送配電事業」「送電事業」「配電事業」「特定送配電事業」「発電事業」「特定卸供給事業」「特定供給」「広域的運営」「あっせん及び仲裁」の10の節からなる。それぞれに関する規制措置などが規定されている。
 次は「2章の2」。法改正で条文などが挿入されると通常は番号を振り直さず、この「の2」のような枝番号がつけられる。これは2章に付随する内容ではなく独立した章を意味する。2020年6月の改正で加えられた「電気使用者情報の利用及び提供」だ。ここでは需要家の電力データ利用について定めている。
 3章は電気工作物。2章に次いで多くの内容を含む章。電気工作物を、一般用、事業用、小規模事業用、自家用に分け、それぞれを定義したうえで、事業用と一般用に関し詳細に規定している。事業用についての条文では技術基準に適合するよう求める義務規定のほか、保安規程、主任技術者、技術者の免状や試験などのルールにも触れている。
 4章は土地等の使用。一定の電気事業者には、送電線の設置や保守、災害時対応などで他者の所有する土地を一時使用するといった特権が認められている。その詳細がここで規定されている。
 5章は電力・ガス取引監視等委員会。2015年の改正で追加された。よって直前の66条に、前述の枝番号を17までつけた条文で構成される。電力小売り全面自由化に向け行政が市場を監視するため設置した機関を規定している。
 6章は登録適合性確認機関、登録安全管理審査機関、指定試験機関及び登録調査機関。電気工作物が技術基準に適合しているかをチェックする機関や主任技術者試験の実施機関などに関する規定。
 7章は卸電力取引所。2014年の改正で追加された章。文字通り卸電力取引所についての規定などを示す。
 8章の雑則で関連するそのほかの条文を記し、残る9章は罰則。違反行為に対する懲役や罰金などを規定する。


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