【概観・電気事業法】第6回/発電関連分野の規制

 電気事業法(電事法)の内容を紹介する連載の第6回。今回は2章「電気事業」の5節、5節の2、6節の3つの節。
前回まで、電気を「売る」と「運ぶ」という2つの事業について記された内容を見てきたが、ここではそれに続き「つくる」、つまり発電分野に関連する条文を概観していく。
 これまでと同様、記事作成において参照したのは、政府のサイト「e-Gov法令検索」で施行日を2024年4月1日に設定した電気事業法の条文。
※本記事は環境市場新聞第76号(2024年4月発刊)に掲載されたものです。


電気をつくる事業への規制

 発電、いわゆる「電気をつくる」事業に関連する規定は2章の中で3つの類型に分けられている。小売電気事業者や一般送配電事業者に提供するための電気を一定規模以上の設備でつくる5節の「発電事業」、太陽光発電や電気自動車(EV)からの放電など他者からの電力を集約して小売電気事業者などに提供する5節の2の「特定卸供給事業」(アグリゲーター)、そして自家発電に類するような親会社と子会社といった密接な関係間での電気の供給事業を比較的緩やかな規制にする6節の「特定供給」だ。


 5節「発電事業」は27条の27から27条の29まで3つの条文からなる。最初の条文の見出しは「事業の届出」。事業を始めるには経済産業大臣への届出が必要と定め、その内容は、社名や所在地、営業所といった会社情報、発電や蓄電の設備に関する情報などのほか、電気を提供する相手との契約書の写しのように経産省令で定める書類の添付も含む。さらに、内容を変更する場合にも遅滞なく届出するよう求めている。2つ目は「発電等義務」。一般送配電事業者と配電事業者に対し、電気の供給契約を結んでいるとき、天災などの正当な理由もなく供給を拒んではならないとする。3つ目は「準用」。小売など他の事業類型で定めた義務を当てはめる条文。発電事業の譲渡、休廃業、業務改善命令、会計整理などについて定めている。
 5節の2「特定卸供給事業」は2020年6月公布の「エネルギー供給強靭化法」による改正で追加された27条の30から27条の32までの3つの条文。発電事業と同様に、届出、供給義務、準用という構成になっている。災害に強い分散型電力システム構築のため、法律上アグリゲーターを発電事業者のように位置づけた。届出する内容には、電力を集める方法など供給力確保に関する事項も含まれる。経産相がそれを判断し、不適切な場合には内容の変更や中止を命じることができる。また届出の受理から30日間は原則事業は開始できないなどの規定も設けられている。
 6節「特定供給」の条文は27条の33のみ。特定供給とは密接な関係にある相手先に電気の供給を行うこと。自ら使う電気を自家発電するのは事業とはみなされず電気事業者の規制は受けないが、一定の資本関係にある会社間のやり取りなどもそれに類するとして緩やかな規制で電気の供給を認める。経産相の許可を要するものと許可不要の場合(同一の建物内での供給など)の区分け、許可基準、申請手続き、変更や廃止の届出などが6項に分け記されている。




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