【環境関連の組織・機関】第6回/経済協力開発機構(OECD)

 地球環境問題や持続可能な開発といった分野も網羅する広範な経済・社会の課題に関して、調査、分析、政策提言を行い、国際社会に大きな影響力を持つ機関。そうした活動内容から「世界最大のシンクタンク」とも呼ばれている。設立60 周年になる先進自由主義諸国間の協力機構について、その概要を見ていく。
※本記事は環境市場新聞第66号(2021年10月発刊)に掲載されたものです。


経済・社会の広範な分野で活動する
世界最大のシンクタンク

 前身は1948年4月に発足した欧州経済協力機構(OEEC)。その主な目的はアメリカが当時提案した第2次世界大戦後の欧州復興支援を受け入れる体制の整備だった。復興が進んだ1961年9月、アメリカとカナダが加盟して発展的に改組し、経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Cooperation and Development)として設立された。1964年4月、当初のメンバー以外で初めて日本が加盟。2021年6月時点の加盟国数は38ヵ国になる。


 目的は①経済成長、雇用拡大、生活水準の向上②発展途上国援助③自由貿易の多角的な拡大――の3つを基本としている。しかし、国際社会の多様化に伴い、活動の範囲は地球環境保全、持続可能な資源エネルギー対策、財政健全化、社会保障や教育制度の拡充など多岐に及んでいる。各分野の現状を調査・分析し、将来の動向を予測、政策提言などにつなげている。
 最高意思決定機関は、すべての加盟国で構成される「理事会」。ここには各国大使による通常の理事会と閣僚理事会がある。年に1度、加盟国の関係閣僚が集まる閣僚理事会は議題により非加盟国の代表も参加する。過去1年の総括や今後の政策決定、事務総長の任命などを行い、決定は全会一致を原則にしている。
 理事会のもとには3つの常設委員会(「執行委員会」「予算委員会」および、非加盟国との協力活動などを行う「対外関係委員会」)をはじめ、各分野の委員会や作業部会がある。その数は専門家グループなども含めて300以上になる。また、エネルギー問題を検討する付属機関「国際エネルギー機関(IEA)」(次回掲載予定)なども置かれている。
 それら広範な活動を支えるのがフランスのパリに本部がある事務局。職員数は3772人(2020年末時点)で、エコノミスト、弁護士、科学者などの専門家も在籍する。また広報の拠点として東京、ベルリン、ワシントン、メキシコシティにOECDセンターを設置している。


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