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バイオプラスチック、ちゃんと知っていますか?

近年、その活用が増えているバイオプラスチック。バイオマスプラスチックという言葉も頻繫に目にしますが、これらは完全なイコールではありません。バイオプラスチックとは、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」を総称した環境にやさしいプラスチックのこと。今回は、バイオプラスチックとは何なのか、そしてなぜバイオプラスチックが環境にやさしいのかをご紹介します。


【目次】
生活必需品、プラスチック
バイオプラスチックの種類
バイオプラスチック普及拡大への課題
最後に

 

生活必需品、プラスチック


プラスチックは1860年代に発明されて以来、私たちの生活に欠かせないものとなっています。ペットボトルなどに使われるPET(ポリエチレンテレフタレート)、合成皮革や食品ラップなどに使われるPVC(ポリ塩化ビニル)、レジ袋などに使われる高密度ポリエチレンなど種類もさまざまで、生活必需品には必ずプラスチックが含まれているといっても過言ではありません。しかし石油を原料としているため、焼却処分の際にCO2が発生し地球温暖化に影響を及ぼしています。他にも、海洋プラスチックごみによる海洋汚染など、それらが問題視され「脱プラ」といった言葉も広がっています。しかし、あまりにも広範囲で使用されているため完全になくすことはできません。そこで生まれたのが、「バイオプラスチック」です。

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バイオプラスチックの種類


バイオプラスチックには、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」の2種類があります。
まず、バイオマスとは再生可能生物由来の有機性資源のこと。つまり、バイオマスプラスチックはさとうきびなどの植物からできています。植物が育つ際には大気中からCO2を吸収します。植物を燃やした場合もCO2は発生しますが、それは光合成によって吸収したもので、大気中のCO2をさらに増やすことにはなりません。そのため、環境にやさしいといえるのです。
一方、生分解性プラスチックには、バイオマス由来のものもあれば、石油由来のものもあります。生分解性でないプラスチックは、適切に焼却などのごみ処理がされず自然環境に流失してしまうとプラスチックとして残り続けます。しかし、生分解性プラスチックは環境中に流出しても比較的短時間で微生物が分解を行い、長時間の残留を防いでくれます。主に農業用資材や海洋プラスチックごみにも多く見受けられる使い捨て製品などに使われます。

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バイオプラスチック普及拡大への課題と


ある大手カフェチェーンでは、紙製のストローがバイオマスプラスチック製に変更されました。時間が経つとへたってしまう紙製よりも使用感がよいうえに、環境負荷低減が実現できるといいます。すべてのプラスチックをバイオプラスチックにすればよいと思われがちですが、一方でなかなか実現に踏み切れない問題点があります。

①原料
バイオマスプラスチックの製造にはサトウキビやトウモロコシの可食部を使用することが多い。そのため、需要が拡大すると食料はもちろんバイオエタノールなどの原料と競合してしまい、供給量が不足するおそれがある。
②供給
需要が急拡大しているため、供給が追い付かないおそれがある。また、商用化に適した製造技術が実証されておらず、増産体制が整っていない。
③コスト
石油と比べ、植物を育てる必要がある。結果、原価が上がり高価格となってしまう。
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最後に


過去には耐久性などの問題もあったバイオプラスチックですが、近年の技術進歩で石油由来のプラスチックとその品質は大きく変わらなくなっています。前段落でお伝えした課題解決は一筋縄ではいきませんが、もしクリアされれば世界中のすべてのプラスチックがバイオプラスチックになる日がくるかもしれません。
皆さんにバイオプラスチックとは何なのかを知っていただくことで、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みの中でおざなりにすることのできないプラスチック問題について考えるきっかけになれば幸いです。

【参考資料】
プラスチック資源循環(環境省)
・バイオプラスチック導入ロードマップ(環境省)
・バイオマスとは?(農林水産省 九州農政局)

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