冬の線状降水帯「JPCZ」。温暖化で大雪が深刻化するって本当?
2022年末に新潟県を中心とした東北・北陸地方に降った記録的な大雪は記憶に新しく、その際さまざまなメディアで「JPCZ」という単語が使われました。多くの人にとってはあまり耳馴染みのない言葉だと思いますが、気象用語としては50年以上前から使われているものだそう。夏に発生する「ゲリラ豪雨」や「線状降水帯」と同様、今後は日常的に使う言葉になっていくのかもしれません。
一年で一番寒いといわれる「大寒」の時期である今、JPCZについての基礎知識と、温暖化との関係性をご紹介します。
そもそもJPCZとは?
JPCZは「Japan sea Polar air mass Convergence Zone」(日本海寒帯気団収束帯)の略称で、1969年に気象庁の予報官・岡林俊男さんが提唱した気象現象のことを指します。主に東北地方から山陰地方にかけて日本海沿岸に影響をもたらす雪雲の筋の集合体で、次々と日本海沿岸に流れ込んで大雪を降らせます。特別に珍しい気象現象ではなく、実は毎年、年に数回から10回ほど発生しているようです。
発生のメカニズムは?
雪雲の元になる寒気はユーラシア大陸から流れてきます。大陸で冬季に発生する「シベリア高気圧」の冷たい空気が季節風に乗って西から東へ流れる際に、朝鮮半島北部にある白頭山などの山岳地帯にぶつかりますが、ここで気流が二分され、その後日本海上で合流(収束)します。気流に沿って筋状の雲が発達するときに、日本海の暖流・対馬海流から大量の水蒸気を取り込み、雪雲に発達するという仕組みです。JPCZは線状降水帯とメカニズムが似ていることから、「線状降雪帯」とも呼ばれます。
気象条件が重なると、日本海を横断するほどの雪雲が次から次へと同じエリアに流れ込んでくることになり、大雪の原因になるのです。
温暖化との関係は?
一見すると温暖化と雪は無関係、むしろ相反する存在に思えますが、そうともいい切れません。雨については、一昔前にくらべて降る量も激しさも増していると実感している方も多いと思います。これは温暖化による海水温の上昇で、大気中の水蒸気が増えていることが一因といわれています。雨と雪の違いは気温の差のみ。冬場でも、雪の元となる水蒸気は雨と同様に増えているものと考えられます。このため、気温が0℃を下回ると「雨」が「雪」に変わり、降雪量により「大雪」、「豪雪」と程度が増していくのです。
2022年末に発生し大きな被害をもたらした大雪もJPCZによるものでした。大きく関係しているのが、2022年夏の猛暑と考えられています。記録的な暑さで海水が温まってしまったため、12月になっても平年より海水温が高い状態が続いていました。このため海面から上昇する水蒸気の量も例年より多く、発生したJPCZの影響もあり記録的な大雪が降ったものと思われます。
まとめ
真冬になると海水温が低下するため水蒸気の量も減ると考えられることから、JPCZによる大雪の可能性はこの時期は2022年末ほど高くないかもしれません。しかし油断は禁物!大雪の情報は数日前から天気予報などで予測が発表されます。お住まいの地域で雪害が発生しても困らないように、普段から準備をしておきましょう。
以下はもしもの備えの一例です。ご参考ください。
★自宅の備え
・食料や飲料などの備蓄はあるか?
・防寒グッズはあるか?
・除雪道具はあるか?
大雪が降ると外出が困難になる場合があります。不要不急の外出をしなくても済むように、食料品の備蓄を確認しておきましょう。
積雪や防風により、電線・鉄塔が破損し停電することも考えられます。電源を必要としない防寒グッズもあるとよいでしょう。
★車の備え
もしも外出先で大雪に遭遇してしまった場合、スリップやスタック(雪にはまってしまいタイヤが空転し前進できなくなること)を起こしてしまうと後続車両が次々に滞留してしまい、立ち往生してしまう恐れがあります。チェーンやスコップといった車両の雪対策グッズのほか、長期間車内に留まることも想定して防災グッズを車載しておきましょう。
出発前に燃料が十分に補給されているかの確認もお忘れなく!
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