あらためて考えてみませんか?食品ロスの「今」
SDGsのゴールとしても設定されている「食品ロス削減」。ここ数年でコンビニチェーン店での値引きシールや、スーパーの見切り品コーナーなどが目立つようになり、食品売り場でも削減に向けた取り組みが身近に感じられるようになってきました。今年6月に農林水産省から発表された最新の推計値によると、2022年度の食品ロス量は472万トンで、前年比マイナス51万トンでした。企業努力と消費者の意識、双方が進んでいる様子が伺えます。今回のサステナブルノートでは、食品ロスに関する基礎知識のおさらいと、削減に向けた最近の取り組み事例をご紹介します。
SDGs12.3
2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/goal12.html
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食品ロス 国民1人当たり約42kg
https://econews.jp/news/domestic/10324/
日焼け止めが環境に与える影響とは
食品の廃棄物は、どの部分を捨てるかによって呼び名が異なります。
・食品廃棄物:不可食部を含む食品廃棄
・食品ロス:可食部の廃棄
(不可食部とは、食用にできないもののこと。魚の骨、もみ殻など)
このうち食品ロスは、さらに以下の2つに分けられます。
・事業系食品ロス:小売店での売れ残りや返品、飲食店で発生する食べ残しなど、事業活動にともない発生するロス
・家庭系食品ロス:料理の食べ残し、使わず捨てられてしまう食品など、各家庭で発生するロス
農林水産省では、2018年に公表した「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)の基本方針で、食品関連事業者から発生する事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させる目標を設定しています。2022年度の結果は全体で472万トン、うち事業系食品ロスは236万トン。半減の目標値である273万トンを前倒しで達成したことになります。
食品ロスは減少傾向ですが、それでもなお国民1人が毎日おにぎり1つ分の食料を捨てている計算になります。発展途上国への食糧援助の量を上回っているともいわれており、今後も削減の努力を継続していくことが求められる状況に変わりはありません。
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みんなで食べる幸せを 10月16日は世界食料デー
https://econews.jp/column/sustainable/10051/
可食部とは?意外と食べられる「捨てている部分」
食品の廃棄を語るときに使われる「可食部」「不可食部」という言葉。読んで字のごとく、食品の「食べられる部分」と「食べられない部分」のことですが、「食べられない」と思われがちだが実際は食べられる部分も多くあります。これを各家庭で少し減らすだけでも家庭系食品ロスの削減のためには大きな一歩。いくつか例を紹介しますので、ぜひ試してみてください。
・根菜類の皮
人参や大根、蓮根といった根菜類は、皮をむいて調理することが多いですが、実は皮も食用可能。皮つきのままの調理をしてみると、いつもと違った風味や食感が楽しめます。土や汚れ、農薬が気になる方は、野菜専用洗剤やたわしでよく洗ってからお試しください。
・ピーマンの種
調理前に取り除くことが多い種とワタですが、これも食べられます。「アルカロイド」というピーマンの苦み成分が含まれていますが、過熱することで弱まります。ヘタは食べられないので取り除きましょう。
・ブロッコリーの茎
蕾の部分だけを食べる方も多いですが、茎もおいしく食べることができます。軽く火を通せばシャキシャキと、じっくり火を通せばほくほくと、食感の変化も楽しめます。
・トウモロコシの芯
そのまま食べるのには不向きですが、トウモロコシの芯にはグルタミン酸やアラニンといった旨味成分が含まれています。粒を食べた後の芯は、炊飯器に入れてお米と一緒に炊くと旨味たっぷりの炊きあがりになります。粒と一緒に炊いてトウモロコシご飯にしてもよいですね。
・鶏肉の皮
皮単体を食べるのが苦手な場合は、取り除いた後冷凍しておきましょう。ある程度たまったら煮込むと、ダシのよく出た中華スープをつくることができます。栄養面でも、コラーゲンたっぷり。美容にも健康にもよい食材です。
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至福の1杯を飲むために、環境にやさしいビールについて考えよう!
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日常生活の一環で削減に取り組もう
「すぐにたべるなら、手前を選ぶ。『てまえどり』にご協力ください。」の標語で、販売期限が迫った商品の積極的な購入を促す「てまえどり」。2021年からスタートしたこの取り組みですが、スーパーやコンビニでポップを見かけることも多くなり、一般消費者にも浸透してきたのではないでしょうか。「賞味期限前に食べきれなかった」と捨ててしまうことにならないようバランスが大事ですが、廃棄せずに消費できるよう、官民一体となって日常的な風景にしていけるといいですね。
また、事業系食品ロスの削減に消費者の立場から協力できるのが、注文した料理の食べ残しを減らすこと。外食産業における食品ロスの約6割が客の食べ残しによるものです。主にアメリカや中国では「ドギーバッグ」という持ち帰り容器が浸透しており、食べきれない分は容器に移しかえて持ち帰ることができます。日本でも普及に向けた取り組みが行われていますが、まだ認知度は高いとはいえません。
話に夢中になってしまったり、おいしそうでつい多く頼みすぎてしまったりして余ることがあると思いますが、まだ食べられる料理を「食べ残し」として捨ててしまうのはあまりにももったいないこと。持ち帰れることが掲示されていないお店でも、聞いてみると対応してくれるお店は意外と多いです。時と場合によりますが、できればそのまま帰らず、店員さんに一声かけてみてはいかがでしょうか。
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参考サイト:
●農林水産省 報道資料「令和4年度の事業系食品ロス量が削減目標を達成! https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/240621.html
社交的な皮をかぶった人見知りなので、取材のときはいつもドキドキしています。
話し手さんがついぽろっと本音を話してしまうようなインタビューをめざしています!
エネルギー分野、特に次世代の燃料や発電・蓄電技術に興味津々です。
好きな食べ物:生牡蠣(あたっても食べ続けています)。
趣味:オンラインゲーム(休日はもっぱら、光の〇士としてエオ〇ゼアを旅しています)。